メルセデスは、F1モナコGPの決勝を”タイヤが外れない”というトラブルでリタイアしたバルテリ・ボッタスのマシンから、レース2日後の火曜日朝に、ようやくタイヤを取り外すことができた。この作業はイギリス・ブラックリーにあるファクトリーで行なわれ、チームは当時の模様を短い動画で公開した。

 メルセデスのボッタスは、先日行なわれたF1モナコGPの決勝レース序盤は2番手を走っていた。しかしタイヤを交換するためにピットストップを行なった際、ホイールガンでホイールナットをなめてしまい、タイヤを取り外すことができず、その場でリタイアとなった。

 ボッタスのマシンのナットはガンと噛み合う面が完全に削り取られてしまっており、チームはサーキットではこれを取り外すことができないと判断。ボッタスのマシンはブラックリーのファクトリーに戻された後、様々な工具を使ってようやく外すことができた。

 この動画には、小さなドリルを使ってナットを削り取り、ボッタスのマシンからホイールがようやく取り外される模様が映し出されている。

 また別で公開されたビデオでのインタビューで、メルセデスの戦略担当であるジェームズ・ボウルズは、作業時間が非常に短いことを考えれば、今回のようなことが起きるのは珍しいことではないと語った。

「全体のプロセスは1秒半だ。それだけしかないんだ」

 ボウルズはそう語った。

「この間にナットを外し、ホイールを交換し、新しいナットを取り付けなければいけない」

「その結果、ミスを犯すことができる余裕は非常に小さく、ほんのわずかな問題が発生した場合でも、ピットストップが遅くなるか、さらに悲惨な場合には、今回のようなことが起きる可能性がある」

 ボウルズ曰く、モナコでの問題は、ホイールガンにほんの僅かな角度が生じてしまったために起きたという。そして、この問題は将来に向けて対処される予定だとも語った。

「我々のナットは、キャプティブ(捕虜)と呼ばれていて、それはホイールに組み込まれている。つまり、ホイールが外れると、ナットも一緒に外れるんだ」

 そうボウルズは語る。

「このナットは、ブレーキング時やコーナリング時に、5Gの力にも対応する形でホイールを固定できなければならない」

「その力は、車軸とナット通過する非常に大きなモノであるため、ナットは簡単には緩めることはできない。だからこのホイールガンは非常に強力であり、メカニックは自分自身の身体を押さえつけ、地面に踏ん張らないといけない。そうしないと、一緒に回転してしまう」

「今回起きたことは、少し角度がついた状態で、ガンのソケットがナットに接続されてしまった。その結果、ナット全体に負荷がかかるのではなく、小さな部分に大きな負荷がかかってしまい、その部分が引き裂かれてしまった。そして金属部分の全てが、ナットから削り取られてしまったんだ」

「その結果、ナットは固着されてしまい、取り外すことができなかった」

「バルテリにとっては大きな代償となってしまった。チームにも大きな影響を及ぼした。今後はこの対策を講じる予定だ」

 メルセデスは当初、モナコのガレージでホイールを取り外そうとしたようだ。しかし専用の機器を使って問題の原因を調査するためにも、ブラックリーのファクトリーに戻ってから、作業を行なうことに変更したという。

「最終的には、そのナットを取り外すためには、かなり重い機器、そして特殊な機器を用いる必要があり、ここのファクトリーで作業を行なう方がいいと結論付けた」

 そうボウルズは付け加えた。

「さらにそのことは、ナットがどのように取り付けられたのかを実際に理解し、将来より良い仕事をするための手がかりを集めるため、今回のことを検証する良い機会を与えてくれるんだ」