現在F1で4連勝を収めているレッドブル・ホンダ。チームにパワーユニット(PU)を供給するホンダはその連勝に貢献してきたが、2基目のPUを投入したフランスGP以降は特に好調な走りを見せてきた。

 レッドブル・ホンダの速さには、新PUの信頼性を向上させたことによってさらなるパワーアップを果たした、もしくはこれまで故障を懸念して抑えていたパワーをよりアグレッシブに使用できるようになったことが要因としてあるのではないか……そういった見方も出ることになった。

 しかしホンダF1の田辺豊治テクニカルディレクターは、PUの仕様変更や、よりアグレッシブなモードでPUを使用しているといった噂をきっぱりと否定している。

 2基目のPUによって15馬力の向上を果たしているという噂について訊かれた田辺TDは「それが本当ならとても嬉しいですけれど、そうではありません」と答え、次のように続けた。

「現行のレギュレーションでは、今シーズン中にはどのようなパフォーマンスアップデートも許可されていません。そのため、我々のPUは仕様、そしてパフォーマンスの面で1基目のPUと同一のものです」

 田辺TDは仮にホンダが信頼性向上のためにPUへ何らかの手を加え、それがパフォーマンス向上をもたらしている場合、他チームはFIAから通達を受けていたはずだと指摘している。

「現在のPUレギュレーションでは、我々にはどの様な変更も届け出る必要があります」

「信頼性、コスト、ロジスティクスといった理由でのみ変更が許されていますが、我々には非常に細かい部分までまずFIAに届け出る必要があり、そしてFIAがそれらの変更を承認することになります」

「FIAはすべての書類を他のPUメーカーにも共有しており、我々がなにかひとつパーツの仕様を変更しようとすれば、他PUメーカーからの承認が必要です」

「なぜ我々がこうした非常に細かい調査を行なっているかと言えば、それは過去に一部のチームが信頼性を向上させることによってパフォーマンスを向上させているからです」

「そのため我々はパフォーマンスの変化には非常に気を配っています。シーズン中にパフォーマンスを進歩させることは不可能なんです。それがこの件に関する私のお答えです」

 また田辺TDは、最近のレースでホンダが進歩しているように見える原因として、エネルギーマネジメントシステムの最適化がより進んだ結果ではないかと語っている。

「徐々にPUの使い方を学んできています」と田辺TD。

「我々は弱点を改善し、そして強みを伸ばしています」

「その結果、基礎となる仕様やパフォーマンスは同じでも、トラックでのパフォーマンスは改善されているのだと思います」

 ライバルのメルセデスやマクラーレンなどは、レッドブルとホンダの直線での速さを何度も指摘しているが、田辺TDはホンダPUがF1におけるベンチマークになっているとは考えていないと語った。

「我々は自分たちのポジションの分析、他PUメーカーとの比較を続けています。分析にはシャシーパフォーマンスも含まれています。というのも良いマシンを手にして、ダウンフォースを減らせるのなら、時にはエンジンパフォーマンスが良いものに見えるからです。そのため、(エンジンパフォーマンスを)判定するのは少し難しいです」

「現在の結果を見ると、我々はまだナンバーワンではないです。ですがお話したようにICE(内燃エンジン)の性能のような純粋なパフォーマンスは改善することはできません。すると、我々はサーキットでいかにPUを効率的に使用するかを懸命に考えます。ですから現在のハードウェアを、チームのエンジニアとより効果的に使いたいと考えているんです」