2021年シーズンの第9戦オーストリアGPを制したのは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)だった。

 第7戦フランスGPからの3連戦最後を締めくくるオーストリアGPは、先週のシュタイアーマルクGPに引き続き、オーストリアのレッドブル・リンクでの開催となった。サーキット名にもある通り、レッドブル・ホンダとしては母国グランプリとなる。

 金曜日のフリー走行2回目では降雨も見受けられたが、日曜日までほとんどのセッションを通してドライ路面での走行となった。5種類のタイヤコンパウンドのうち、今回ピレリが提供するタイヤはC5〜C3までの1番柔らかい組み合わせ。先週のシュタイアーマルクGPからは1段階柔らかいタイヤセットである。

 予選を終え、決勝レースのグリッド先頭につけたのは、フェルスタッペンだ。フランスGPから3戦連続でのポール獲得ということもあり、オランダから押し寄せた通称“オレンジ・アーミー”達もスタート前から大盛り上がりを見せた。オーストリアGPは観客上限がない久しぶりのグランプリとなり、のべ13万2000人の観客がサーキットへ足を運んだ。

 2番グリッドには、予選で0.048秒という僅差で敗れたものの、2012年ぶりにチームをフロントローに押し上げたランド・ノリス(マクラーレン)。3番手には、200戦目のF1出走となるセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)が並んだ。メルセデス勢は、その後方4番手がルイス・ハミルトン、5番手バルテリ・ボッタス。上位5台はミディアムタイヤでのスタートとなる。

 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)は、チームメイトのピエール・ガスリーの後ろ7番手を予選で獲得。自己最高タイのグリッドからのスタートに伴い、先週に続きポイント獲得が期待されてたが、寿命の短いソフトタイヤで第1スティントを走ることになった。

 快晴の予選とは大きく異なり、気温20度、路面温度32度、降水確率60%というコンディションで71周の決勝レースがスタートした。

 フェルスタッペンを先頭に各車順当にスタートしたものの、オープニングラップからエステバン・オコン(アルピーヌ)がターン3出口で他車に挟まれ、右リヤタイヤを破損しリタイアをレースを終えた。これによりセーフティーカーが導入された。

 4周目からレースは再開し、トップは変わらずフェルスタッペン。再開後、3番手のペレスは2番手のノリスに迫るも、ターン4でグラベルに押し出され、10番手まで後退してしまった。

 ハミルトンがノリスを抜きあぐねている中、トップのフェルスタッペンは1分9秒台のファステストラップを叩き出しながら序盤から後続を引き離していった。

 当初の予想通りソフトタイヤの性能劣化は激しく、13周目の角田を皮切りにソフトタイヤ勢は続々とピットへ飛び込んだ。ここで、ピットイン時に白線を跨いだとして角田に5秒ペナルティが科されてしまう。

 ハミルトンは20周目のターン4でノリスをオーバーテイクし、10秒前方まで差が開いたフェルスタッペンを追撃するかと思われたが、差は徐々に開いていく一方に。

 31周目にダニエル・リカルド(マクラーレン)がピットインすると、同じミディアムタイヤでスタートしたマシンがピットインしていく。フェルスタッペンは、ハミルトンがピットインした翌周の32周終わりにピットへ入り、新品のハードタイヤに交換。トップでコースに戻った。ペレスとのインシデントにより5秒ペナルティを科されたノリスは、ピットでのペナルティ消化によってボッタスに3番手を明け渡すことになった。

 レース折り返し時点では、トップのフェルスタッペンから2番手ハミルトンまでの差は14秒に広がった。13周目でタイヤを変えた角田は、ピットストップを終えていないマシンに引っかかり大きくタイムロス。ミディアムタイヤ勢のリカルドやシャルル・ルクレール(フェラーリ)などに先行を許し9番手へ後退した。

 ソフトタイヤでスタートしたマシンは2ストップ戦略。46周目にガスリー、53周目に角田が5秒ペナルティを消化しつつ、新品のハードタイヤに交換した。角田は14番手でコースに復帰したが、またしてもピットイン時に白線を越えたとして5秒ペナルティを受けた。

 カマボコ型の縁石によってフロアにダメージを負い、タイヤも厳しいハミルトン。チームメイトのボッタスを先行させた後、ノリスにもオーバーテイクを許した。ハミルトンは表彰台を諦め、2度目のピットインへ入った。

 2番手のボッタスに27秒差をつけていたフェルスタッペンは、2度目のピットストップを敢行。新品のハードタイヤへスイッチし、悠々とトップでコースへ戻った。その時点でファステストラップを保持していたフェルスタッペンだが、1分6秒200という驚速のタイムを叩き出し、ボーナスポイントをほぼ確実なものとした。

 そのままフェルスタッペンは、71周すべてをリードし3連勝のトップチェッカー。ファステストラップポイントを含め26点を加算し、ドライバーズランキングではハミルトンとの差を32点に押し広げた。

 2位にはボッタス。3位には自身4度目の表彰台を獲得したノリスが入り、ドライバー・オブ・ザ・デイも獲得した。ノリスが初表彰台を経験したのもここレッドブルリンクであった。

 決勝レースを通じて苦しんだハミルトンは4位。ハミルトンに続いてフィニッシュしたのはペレスであったが、ルクレールとのバトルで2度のペナルティを受け、計10秒のタイム加算。6位に後退し、カルロス・サインツJr.(フェラーリ)が5位入賞となった。

 7位にリカルド、ルクレールが8位に入った。9位にガスリー、10位にはフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)。ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)から1ポイントをもぎ取るオーバーテイクを見せ、入賞を果たした。

 角田は、ファイナルラップで先行するキミ・ライコネン(アルファロメオ)とセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)が交錯しクラッシュアウトしたことから、レース後の5秒ペナルティ加算があったものの12位でレースを終えた。

 3連戦は、フェルスタッペンとレッドブル・ホンダの完勝という形で幕を閉じた。”F1発祥の地”シルバーストーン・サーキットで行なわれる次戦イギリスGPは、史上初の試みとしてスプリントレース形式の予選フォーマットが導入される。

 ここで母国のハミルトンが雪辱を果たすか、それともフェルスタッペンが快進撃を続けるのか。見逃せない一戦となる。