レッドブルリンクで行なわれたF1オーストリアGPを勝利したのは、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンだった。フェルスタッペンはこれでフランスGP、シュタイアーマルクGP、そして今回のオーストリアGPと3連勝。レッドブル・ホンダとしてはモナコGPからの連勝記録を5に伸ばした。

 このところ、フェルスタッペンが強さを見せつけている。特にレッドブルリンクでの2連戦は、いずれもポールポジションからスタートし、しかも一度も首位の座を明け渡すことのない完勝。タイトル争いのライバルであるメルセデス勢を全く寄せ付けなかった。

 ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、レース後にオンラインでの会見に応じ、今回のレースについて振り返った。

「3連戦の3戦目、フェルスタッペン選手が非常に力強いレース展開でレースを支配し、ポール・トゥ・ウインという形で終了することができました」

 そう田辺テクニカルディレクターは語った。

「モナコから5連勝ということで、良い形で進んでいます。でも、23戦中9戦が終わったばかり。次のシルバーストンは、多くのF1チームにとってのホームレースとも言えます。我々もホンダのミルトンキーンズオフィスもありますし、レッドブルF1チームのファクトリーもあります。ですので、多くのチームがアップグレードを投入してくるのではないかと思っています。そんな中でも、きっちりと準備して進めたいと思います」

 今回田辺テクニカルディレクターは、コンストラクターの代表としてフェルスタッペンと共に表彰台に登壇した。彼が表彰台に上がるのは、2019年オーストリアGP以来2度目。つまり、ホンダが2015年にF1復帰を果たして以来、初勝利を挙げたレース以来のことだ。

「2度目が回ってくるとは考えていませんでした」

 そう田辺テクニカルディレクターは語る。

「ここはレッドブルのホームコースです。前回(シュタイアーマルクGP)はマルコさん(ヘルムート・マルコ/レッドブルのモータースポーツ・アドバイザー)が登壇するような、特別な場所なんだと思っていました。そんなところで1回目に表彰台に上がらせていただいて、そして今週また登壇させていただきました。自分の人生の中でも良い思い出でありますが、レッドブルとして、ホンダに期待を抱いていただいているんだということも感じました」

「前回上がった時を思い出しながら、表彰台に立ちました。今回は前回と比べて、もう少しグランドスタンドを見渡す時間もありましたし、感慨深かったです。表彰台の下にはスタッフが集まって、フェルスタッペンの優勝だったり、メルセデスの(バルテリ)ボッタス選手や、マクラーレンの(ランド)ノリス選手を祝福するのが目に入って、非常に嬉しく思いました」

 前述のようにこれでレッドブル・ホンダは5連勝。その強さにライバルからは、「ホンダPUのパフォーマンスが向上したのでは?」というような発言すら聞かれた。これについて田辺テクニカルディレクターは「現行のレギュレーションでは、今シーズン中にはどのようなパフォーマンスアップデートも許可されていません。そのため、我々のPUは仕様、そしてパフォーマンスの面で1基目のPUと同一のものです」と別のインタビューで語っていた。

 ただ最近、使われているオイルもアップデートされており、それもパフォーマンス向上に寄与しているのは間違いない。このことについて田辺テクニカルディレクターは次のように語った。

「我々は長いこと、エクソンモービルさんと、オイルのみならず燃料など、色々な形で開発を続けてきました」

「オイルに関しては、先日アップデートしました、アップデートするには目的があって、信頼性やパフォーマンスを向上させようとしています。そして、その向上が認められたため、今回オイルを新しいモノにしたということです」

 次戦はイギリスGP。このグランプリでは、F1史上初めてスプリント予選レースが実施される予定となっている。チームやパワーユニットメーカーにとっては新たな挑戦となる。しかも週末のスケジュールは、金曜日にフリー走行1回目と予選、土曜日にフリー走行2回目とスプリント予選レース、そして日曜日に決勝が行なわれる……これまでとは大きく異なる形のフォーマットになる。

「次のシルバーストンでは、スプリント予選レースという新しい形のフォーマットが取り入れられます。そこに向けて十分に準備をしていきたいと思います」

 田辺テクニカルディレクターはそう語った。

「今は予選とレースで、同じPUのモードを使いなさいというレギュレーションになっています。つまりフリー走行1回目から3回目までを走った上で、予選から同一のモードを使っています」

「しかしスプリント予選レースが導入されると、フリー走行1回目を走った段階で、色々とセッティングを決め、予選から後は同じモードで走らなければいけません。フリー走行2回目では別のモードも使えますが、スプリント予選レースから決勝では、また予選と同じモードで走らなければいけません。そういう部分がこれまでとは変わります」

「フリー走行1回目で最適化を図らなければいけないということは、事前のシミュレーションの精度を上げなければいけないということです。そのあたりが、我々としては難しいところです。事前のシミュレーションと、フリー走行1回目を走った状況でスピーディに最適化を進める……そのあたりが重要になると思います」

「スプリント予選レースが実施されることでどんなグランプリになるのか、我々としてもやってみなければ分かりません。考えられることを十分に想定した対応をして、シルバーストンでのグランプリに臨みたいと思います」