予選で最速タイムを記録したドライバーが、その達成感を”記録”として得たいと考えるのは、当然のことだ。しかし、予選最速=ポールポジション獲得記録とはなっていないのが現状だ。

 たとえば今年(2021年)のトルコGPでは、予選最速タイムを記録したルイス・ハミルトン(メルセデス)は、パワーユニット交換によるペナルティが決まっていたため、彼の”ポールポジション獲得”は正式記録には残らなかった。

 ハミルトンはこのことについて、予選後のインタビューでがっかりしたことを認めた。

「でもまあ、僕はまだ、ポールポジション獲得記録は手にできているんだよね。そうだろう?」

 ハミルトンはそう語ったが、実際には”否”である。

「違うの? なんてことだ……」

 ただ、ポールポジションをグリッド降格ペナルティによって失うのは、F1では真新しいことではない。たとえば2005年のイタリアGPでは、当時マクラーレンのキミ・ライコネンが、予選最速タイムを記録しながらも、エンジン交換のペナルティにより10グリッド降格処分を受けた。

 今季から試験的に導入されているスプリント予選レースも、この”ポールポジション獲得記録”に関する議論を深めるきっかけとなった。

 2021年のF1では、100kmの短いレースを土曜日に行ない、日曜日に行なわれる決勝レースのスターティンググリッドを決める”スプリント予選レース”が3つのグランプリで試験的に実施されることになった。そしてこのスプリント予選レースのスターティンググリッドは、金曜日に行なわれるノックアウト形式の予選で決定される形ともなった。

 当初の計画では、ポールポジション獲得記録はこの”金曜予選”最速のドライバーに与えられるはずだった。ただFIAの規則では、ポールポジションはグリッド最前のドライバーについたドライバーに与えられると正式に定められており、状況が複雑化。その結果、スプリント予選レースの勝者に”ポールポジション”記録が与えられることになった。

 これには、メルセデスのバルテリ・ボッタスも異議を唱える。ボッタスはイタリアGPのスプリント予選レースを制したが、パワーユニット交換のペナルティにより、ポールポジションを獲得することは出来なかった。

「スプリント予選レースが行なわれる週末には間違いなく、予選で最も速かったドライバーに、公式のポールポジション・アワードと、記録としてのポールポジションが与えられるべきだと思う」

 そうボッタスは語った。

「またトルコでは、ルイスが最速タイムを記録した。彼は実際にはポールポジションだったはずだけど、ペナルティを受けた後は……本当にフェアではないと思う」

 このような状況を受けF1の首脳陣は、スプリント予選レースが開催される週末のポールポジション記録をどうするか、その調整を検討している。

 しかしこのポールポジション記録に関しては、ファンの間でも長いこと議論されているモノだ。多くの人は、ペナルティに関係なく、ポールポジションの記録は予選で最速だったドライバーに与えられるべきだと主張する。