2021年のF1最終戦アブダビGPは、レース終盤にコース上でクラッシュが起き、セーフティカーが出動、これによりレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンにメルセデスのルイス・ハミルトンをオーバーテイクするチャンスが生まれ、セーフティカー解除後の1周で攻略。大激戦となったシーズンの最後の最後で大逆転が起き、勝負が決するという、ものすごい形の結末となった。

 これについてレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコが、motorsport.comの姉妹サイトであるFormel1.deのインタビューに応じ、当時の状況を振り返った。そして、セーフティカーがアルファタウリのクラッシュにより出されていたら、ちょっとした騒ぎになっただろうと語った。

「我々としては、セーフティカーが出るのが必要なのは明らかだった。できれば47周目か、そのくらいに出てくれるのが良いと思っていたんだ」

 マルコはそう語った。

「そして実際に出されたセーフティカーは、アルファタウリのドライバーが起こした事故によるモノではなく、メルセデスのPUを使うチーム(であるウイリアムズ)の(ニコラス)ラティフィのクラッシュによるモノだった。ユウキ(角田裕毅)が引き起こしたなら、少し騒ぎになっただろう。でも、そのセーフティカーが、我々にとってのクリスマスにやってきたチャンスのようなモノであることは、既に明らかだった」

 レッドブルが求める”最高”のタイミングで出動したセーフティカー。しかし、それが本当にうまくいくかは、最後の最後まで分からなかったとマルコは言う。

「これで、我々の戦略が機能しそうだというのは明らかだった。すぐに反応し、ソフトタイヤに交換した。身震いしたよ。それでもうまくいくのか、レースは再開されるのか……と考えたしね」

「その後、周回遅れのマシンが、リードラップに戻されないという状況もあった。マシ(マイケル・マシ/F1レースディレクター)は当時、マーシャルがコース上で、マシンを回収しているからだと主張したんだ」

「でも回収が終わった後、(レッドブルのチーム代表であるクリスチャン)ホーナーは、すぐに無線で言ったんだ。周回遅れのマシンを遠ざけるか、ハミルトンとマックスの間にいるマシンを先に行かせて欲しいとね。そして、彼らはリードラップに戻されることになった」

「それが起きたことだ。私は、マシはレースを再開する上で、正しい反応をしたと思う。スポーツの精神に則ってね。ただ我々はそのことで利益を享受し、メルセデスは敗者になった。それは事実だ」

 前述のホーナー代表のレースコントロールに対する無線は、不必要なプレッシャーをかけたのではないかとして、議論を呼ぶ要因のひとつともなっている。メルセデスが、不満を抱えているのもここにある。

 しかしマルコは、メルセデスが怒る理由は理解できるとしながらも、ホーナー代表の主張は正しいモノだったと語った。

「先ほども言ったように、当初はコース上にまだマーシャルがいたから、周回遅れのマシンをリードラップに戻さないと言われた。でもマーシャルが安全な位置に戻った後、彼らをリードラップに戻さない理由はなかったんだ。そして、それが起きたんだ」

 そうマルコは語る。

「メルセデスが怒っていること、そして失望していることは、理解できる以上のモノだ。そして、最初の反応も理解することができる」

「しかしふたつの抗議は棄却されたんだ。我々は再考する必要があると思う」