アルファタウリでテクニカルディレクターを務めるジョディ・エギントンは、予算制限下での新テクニカルレギュレーション導入により、マシンの開発競争では「スマートさ」が求められると語る。

 プレシーズンテストと開幕3戦の慌ただしいレース週末を経て、多くのF1チームは第4戦エミリア・ロマーニャGPで最初の大型アップデートをマシンに投入した。

 シーズン序盤、チームはサーキットで得られたデータをファクトリーへ送り、風洞やCFD(数値流体力学)での数値と照らし合わせ、新しい2022年マシンについての学びを深めている段階だ。

 その相関関係を掴む上で厄介になっているのが、ほとんどのチームに多かれ少なかれ発生しているポーパシングだ。高速域でマシンが上下に高速振動するこの現象を、ファクトリーで再現することは容易ではない。

 さらに今年は予算制限の上限が引き下げられ、効率的にマシン開発を行なうことがこれまで以上に重要になる。間違った方向に開発を進めたり、成果の出ない研究開発プロジェクトにリソースを割いたりする余裕などないのだ。

 昨シーズン、3番目から4番目に速いマシンを持っていたアルファタウリ。今年は、ハースF1やアルファロメオ、昨年ライバルであったアルピーヌがマシンの面で躍進を遂げたことで、熾烈な中団グループではやや後退気味である。しかしアルファタウリは、地元イモラ・サーキットで行なわれる第4戦に大型アップデートを持ち込み、巻き返しを狙った。

 ただエミリア・ロマーニャGPの予選では、角田裕毅とピエール・ガスリーが揃ってQ1敗退と、アップデートをモノにすることはできなかった。

 アルファタウリのエギントンTDは、今回のアップデートについて次のように語っている。

「今年最初のそれなりに大きなアップデートになる」

「このアップデートが上手く機能すれば、マシンパフォーマンスが一段と良くなると期待している」

「予定している主なアップデートはフロアと、フロントブレーキダクトだ。ただ今のところ、フロアが最重要で、多くのパフォーマンスがそこに秘められている。ここの部分が上手くいかないと、大量のバナナの皮を踏んだかのようになってしまう」

「だから、我々は正しい方向に進んでいるかどうかを確認しているのだ。これまでのレースでは、細かい変更をたくさん行ない、全てをまとめ上げた上で、フロアの大型アップデートをどう行なうべきかをより明確にしている」

 アルファタウリが2022年シーズン序盤のマシン開発に対しどのように取り組んできたかを知ると、全てのチームが開発で直面する課題の一面が垣間見えてくる。実に興味深いケーススタディだ。

「他のチームと同様に、ファクトリーでアップデートの準備はしていた」とエギントンは言う。

「風洞で上手くいったモノもあったし、投入準備が整っているモノもあった。冬のテストでは、誰もがそうであるように、我々も多くを学んだ。そして開幕戦を迎えた」

「驚きはなかったが、フロアの挙動では従来のレギュレーションとは異なるサーキット特有のモノがある」

「冬のテストと開幕戦で学んだことを元に特定の“アップデートボタン”を押し、その他のモノは『実際、現時点で我々の望むやり方ではない』として待機させることにしたのだ」

「だから、最初のアップデートが第4戦まで遅れることになった。自分たちが正しいことをやれているか、正しい方向に進めているかどうかを確認するためにね。この数ヵ月は、学ぶことがとても多かった」

 アルファタウリはここまでフェラーリと同様のマシン開発戦略を採ってきた。マシンには大きな変更を加えず、“オリジナル”のマシンについての学習を深めることに取り組んできたのだ。

「我々はベースとなるこの仕様のマシンに手を加えてきた」とエギントンはここまでのマシン開発を振り返る。

「通常のメカニカルなセットアップのアップデートはもちろん、とても小さな空力パーツ、フロア、フロアの強化など、小さなところでアップデートを行なってきた。それを上手く読み取って、CFDと空力モデルとの相関関係を取ろうとしている」

「主に冬のテストと開幕戦での学習に基づいて、いくつかのアップデートボタンを押した。我々が進む道はそこだ。しかしこれまでは、データ収集と学習、そして小さなアップデートの繰り返しでとても忙しかった」