2022年シーズンのF1では、各チームがマシンを軽量化するのに苦しんでいるが、唯一最低重量を下回る重さでマシンをデザインしたアルファロメオのフレデリック・バスール代表は、現在の最低重量は達成不可能なモノではないと主張する。

 2022年からF1には新しいテクニカルレギュレーションが導入され、マシンの形状が一変した。これに伴い、ホイールが18インチ化され、さらに安全基準も引き上げられるなどした。その結果、ドライバー込みのマシンの最低重量は、795kgに引き上げられることになった。2021年の最低重量は752kgだったため、実に43kgの重量増となったわけだ。

 通常F1チームは、マシンを極力軽くデザインし、バラストを搭載することで最低重量制限を満たすという手法をとってきた。このバラストの搭載位置は自由であり、マシンのバランスを最適化するのに活用されてきたのだ。最低重量を下回ることができなければ、バラストを搭載することができず、マシンバランスを調整するのも難しい……その結果、目指していたパフォーマンスを発揮するのも難しいということに繋がりかねない。

 しかし各F1チームは今季、この最低重量以下でマシンをデザインするのに苦労。前述の795kgでは不可能だという声が各チームから上がり、プレシーズンテスト終了後にはこれが3kg引き上げられ、798kgとなった。ただこれでも、多くのチームが最低重量を上回る重さでマシンを走らせていると考えられている。

 先日のエミリア・ロマーニャGPでも、複数のチームが軽量化のためのアップグレードパーツを投入。レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコは、「この部分でまだやるべきことがある。FIAが決めた最低重量を、まだ上回っているのだ」と明かしている。レッドブルの今季マシンRB18は、最低重量よりも10kg以上重い状態だという意見もある。

 シーズン開幕時にこの798kgを下回っていたのは、アルファロメオのC42だけだったという見方もある。同チームのバスール代表はmotorsport.comの独占取材に応じ、ライバルチームは798kg以上に最低重量を引き上げようと、駆け引きを行ったと考えている旨を明かした。

「正直に言って、全てのコメントを理解できていない。なぜならレーシングカーをデザインする時には、重量の目標が誰にとっても第一になるはずだからだ」

 そうバスール代表は言う。

「一部のチームは、FIAが土壇場のタイミングで最低重量をさらに引き上げることを期待し、FIAと駆け引きを行なったと思う」

「しかしそうなっていたら、完全に不公平だったと思う。我々はプロジェクトを進めていく上で、重量も関連する複雑な部分で、いくつかの決定を下してきた。我々は、我々の選択を下したんだ。ただF1はそういう世界だ。誰もが駆け引きをしようとしているのは、皆さんご存知の通りだ」

 バスール代表は、最低重量を満たせないのはFIAの基準が厳しいからではなく、各チームの設計上の決断次第であるのは「非常に明確」だと語った。

「重量の目標は、完全に達成可能なモノであるのは明白だ。我々は重量過多にはなっていないのだからね」

 そうバスール代表は説明する。

「他のチームが最低重量を達成できていないなら、それは彼らが他のオプションを選択したからだ。おそらく、重量増加に繋がる何らかのメリットがあるのだろう」