アストンマーチンでチーム代表を務めるマイク・クラックは、ポーパシングが今季のマシン『AMR22』の見えない壁になっていると語っている。

 テクニカルレギュレーションが刷新され、グラウンドエフェクトカーが戻ってきたF1。それと同時に、かつてのグラウンドエフェクト時代でもF1チームを悩ませたポーパシングも戻ってきてしまった。

 マシンのフロア下で発生するダウンフォース量が変化してしまうことで、マシンが浮き沈みを繰り返してしまうというポーパシング。シーズン開幕前から多かれ少なかれ全てのF1チームが経験しているが、メルセデスと並びアストンマーチンがその影響を最も受けているチームのひとつだ。

 フェラーリを始め一部のF1チームがパフォーマンスと問題解決の妥協点を見つけた中、アストンマーチンは車高を上げて、空力的なパフォーマンスを犠牲に走らざるを得ない状況が続いている。

「我々はポーパシングのせいで、このマシンが持っている空力的なポテンシャルを引き出せないでいる」とクラックは言う。

「これが見えない壁になっていて、我々がどこまで改善できるのかが分からない。マシンが本来持つパフォーマンスを引き出せない……これが大きな問題なのだ」

 クラックは「今後2〜3戦のうちにマシンは改善される」と語り、マイアミGPの後に行なわれる第6戦スペインGPでアップデートを投入することを示唆した。ただ、そのアップデート詳細については多くを語ろうとはしなかった。

「2〜3レース後にはもっと良い状態になると思う」

「『〇〇GPで、△△GPで改善される』と明言するのは馬鹿げている。新しいパーツを投入してもそれを理解する必要があるからね。そしてどう機能したかを理解する必要がある」

「例えば、マイアミに大きなパッケージアップデートを持っていったとして、雨が降るなどして上手く機能しなかったとする。多くの期待を抱かせていたら、誰もが失敗したと考えるだろう」

「(エミリア・ロマーニャGPでの)スプリントでは、金曜日に1回だけフリー走行があり、大きなアップデートを持ち込んで、テストする時間も機能しているかを検証する機会も全くなかった」

「そういう意味では、具体的なイベントを口外しないことがとても重要だと思う。我々にはチーム内部の計画がある訳で、その詳細を語りたくないということは理解してもらえると思う」

「でもあと2〜3戦すれば、もっと良い状態になると思うのだ」

 またクラックは、チームは大規模なパッケージを投入することよりも、定期的に小さなアップデートを続けることを好んでいるという。

「我々としては、レースごとにアップデートを投入したいと思っている。我々は断続的に開発を進め、常にアップデートを持ち込みたいのだ」

「時には少し規模は大きく、時に小さくなることもある。だが、開発を止めずに続けることが重要なのだ」

「もちろんシーズンのある時点で、立ち止まって翌年のマシンに集中することになる。ただ今のところ、そこまではかなり時間がある」

 第3戦オーストラリアGPでは、チームは計4度のクラッシュと1度のパワーユニットトラブルに見舞われたため、破損したパーツの補填を中心とした製造により、イモラで予定していたアップデートを延期することが懸念されていた。

 しかし最終的にはアップデートパーツの製造は間に合ったという。

「(アストンマーチンのファクトリーがある)シルバーストンでは、全体としてチームの努力によりアップデートを遅らせることなく、スペアパーツを確保することができた。ただ毎週これをやる訳にはいかない。そうでなければ、我々が達成できなくなることは計り知れない」

 また、クラックは予算制限に与える影響についてはこう続けた。

「心配する必要がある。アクシデントは常に帳簿に関わってくる。だから毎レースでアクシデントが起きてはならない。でなければ、かなり早い段階で(予算が)尽きてしまう」

「我々はそのことを常にチェックしている。まだコントロールできている。こうした事態に備えての用意はあるが、毎レース起こってはいけない」