新F1レースディレクターであるニールス・ウィティヒは、国際競技規則の文言に従い、ドライバーがマシンに乗っている際のジュエリー類の装着や、未承認の下着などの着用規制の強化を進めているが、ルイス・ハミルトン(メルセデス)はこれに不満を露わにしている。

 これらの規制強化が明らかにされた第3戦オーストラリアGPの週末以来、この件について議論が行なわれてきたが、第5戦マイアミGPでは結婚指輪までも外す必要があるのかという点が論点となった。

 実際、ハースのケビン・マグヌッセンは罰則を避けるため、仕方なく結婚指輪を外したと明かした。”初犯”の場合でも、5万2000ドル(約680万円)もの罰金が科せられる可能性があるからだ。

 また、ウィティヒはチームへの注意事項を通じて、時計の着用も禁止事項に含まれるとドライバーに通達している。

 すぐには外せないアイテムに対処するため、2レースの罰則猶予が与えられているハミルトン。彼は金曜日にサーキット入りした際、時計を3つ、ジュエリーを数多く装着。この規則への不満を示していたようにも見えた。



 カルロス・サインツJr.(フェラーリ)やエステバン・オコン(アルピーヌ)がフリー走行でクラッシュした地点に衝撃を吸収するバリアに置かれていないことを引き合いに出し、”安全性”のためのジュエリー禁止令への不満を口にした。

 サインツJr.はFP2で、ターン13で挙動を乱しクラッシュ。コンクリートウォールに激しくマシンを打ちつけた。その日のドライバーズブリーフィングで、サインツJr.はテックプロ・バリアを置くなど、何らかの対策を求めた。

 結局は何の変更も行なわれず、FP3でオコンがサインツJr.と同様のクラッシュを喫した。彼は51Gもの衝撃を受けた上マシンのダメージも大きく、予選を走ることができなかった。

 この地点のバリアについて訊かれたハミルトンは、「つまり、それが安全性ということだよ」と答えた。

「ジュエリーのことを聞いたとき、彼らは安全がすべてだと言っていた。僕は『この16年間、何があったんだ? 僕は16年間もジュエリーをつけてきた。なら、当時は安全性は問題ではなかったのだろうか』と思った」

「新しいコースに来ると、彼らは最高の仕事をする。新しいサーキットでは、安全性に関して素晴らしい仕事をしてくれていると思う。すべてのコーナーでテックプロが必要になるとは思わないけど、サーキットの安全性は素晴らしいんだ」

「もちろん、今回のような経験を積めば、そこが改善すべき点であることは分かる。それは僕たちが学んだ教訓の一部だ」

 ハミルトンの鼻に装着されているスタッドは、最も目立つ彼のジュエリーのひとつだ。罰則猶予が終わるモナコGPまでに、このスタッドを外すのかと聞くと、ハミルトンはmotorsport.comにハッキリと「ノー」と答えている。

「ここで免除を受けたから、残りの期間も免除を受ける。結婚指輪も許可されるんだ」

 モナコでもこの議論が続くのかどうか尋ねられると、彼は「もちろん、次回は4つの腕時計をつけるよ」と答えている。

 マイアミGP土曜日の時点で、メルセデスのトト・ウルフ代表は、ジュエリーの着用禁止について、ハミルトンとFIA会長のモハメド・ベン・スレイエムが直接話し合ったことを示唆していた。

「必要なのはルイスとモハメドの対話だったと思う」と彼は述べた。

「規制がドライバーを守るためにあることは明らかだ。その一方で、多様性や表現方法、自己表現の可能性を維持する必要がある」

「そして我々は、これがルイスにとって重要なことであることは分かっている。だから昨日はどこにピアスが残っているか詳しく聞いていない。彼らはきっと、良い解決策にたどり着くだろう」