レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、F1モナコGPのスタート前の状況が混乱していたため、その手順について検証する必要があると語った。またフェラーリやメルセデスの代表も、スタート開始時の手順について、それぞれの立場で異なる意見を持っている。

 F1モナコGPは、スタート前から混乱することになった。直前に行なわれたFIA F2やポルシェ・スーパーカップのレースはドライコンディションで実施され、F1のスタートセレモニーの時にも、雨は降っていなかった。

 しかしセレモニーが全て終わり、各ドライバーがマシンに乗り込んだところで雨が降り始めた。その後、豪雨になることが予想されたため、FIAのF1レースディレクターであるエドゥアルド・フレイタスは、スタート時刻を遅らせる決断を下した。

 その後セーフティカー先導でフォーメーションラップが行なわれることになったが、全てのチームはフルウエットタイヤを装着する義務があるとされた。タイヤは、通常ではスタートの5分前までに装着する必要がある。しかし、いくつかのチームは準備が整っておらず、それがさらなるスタート遅延を引き起こすことになった。

 結局フォーメーションラップは、セーフティカー先導のまま2周にわたって行なわれた。しかしその途中でサーキットを豪雨が襲い、赤旗中断。各車はピットに戻ることになった。

 またこの雨の影響で、F1とFIAが使っていた電気システムの一部がダウン。さらに遅延が発生することになった。しかも当時のタイミングモニターには、通常ではないメッセージがいくつか送られていたため、これもチームを混乱させることになった。

「混乱していて、グリッド上にタイヤが届いているチームもあれば、届いていないチームもあった。だから、検証する必要があると思う」

 レッドブルのホーナー代表はそう語った。

「ここモナコは、ただでさえ十分に忙しいグリッドだ。天候を先読みしようとするのは、常に少し危険だ」

「どんな形でも議論することができる。レースをスタートさせてから、豪雨に反応した方が良かったとも言える。その時には、セーフティカーを出すのか、それともレースを中断させるのか……しかし、今週末以降は少し見直しをする必要があると思う」

 フェラーリのマッティア・ビノット代表は、自分達は5分前に指示通りウエットタイヤを装着したにも関わらず、他のチームの準備が間に合わなかったためにさらにスタート時刻が遅れることになったことに憤慨している。

「奇妙な決断だった」

 そうビノット代表は語った。

「我々はグリッド上で完全に準備できていた唯一のチームだった。そうとしか言えない。我々は指示された時間通りに、ウエットタイヤを装着していたんだ」

「私はその時、我々は力強いポジションにいると思った。そしてチームとして素晴らしいのは、少なくとも我々が十分に組織化されていることを示し、自分達に素晴らしい能力があるということを示せたということだ」

「我々は、正しいタイミングで正しい決断をしたと言う。それができたんだ。しかし残念ながら、レースコントロールはレースの開始時間をさらに延期することを決断した。なぜそれが必要だったのだろうか? 私には分からない。理由を聞いてみるべきだと思う」

 一方でメルセデスのトト・ウルフ代表は、大雨が降った時に、スタートをさらに遅らせたのは正しい決断だったと考えている。

「最初の雨は実に酷かった。今回のようにモナコに向かって雷雨が進みつつある状況で、レースをスタートすることはできないと思う」

 そうウルフ代表は語った。

「だから私としては、レースのスタートを数回にわたって遅らせたことに、不満はまったくないよ」

「フレイタスやレースディレクターにとっては、今回のレースのマネジメントが非常に難しいモノだったということを認める必要がある。コースが乾いた時には、もっと早くスタートできたら良かった。でもビギン・ヒル(F1のデジタル部門の本拠地)への接続に問題があったんだと思う。それが、レースをスタートすることができなかった理由だ」

「全体としては、アメリカンフットボールの試合のようなものだった。だから、スタートが遅延している間に、ホットドックやビールを買って待つことができたと思う。でも最初の段階では、他にできることは何もなかった」

 マクラーレンのアンドレアス・ザイドル代表は、事故が起きるリスクを避けるためにも、スタートを遅らせたことは正しかったと語る。チームの予算上限額が制限されている現状のF1では、大きな事故はチームの財政面に大きな打撃を与えることになる。

「最終的には、レースディレクターが決断したことについては、正しいことだったと思う」

 そうザイドル代表は語る。

「特にこのモナコのコースでは、多くのクラッシュが起きる可能性があるというリスクを冒すことに、何の意味もない。天気予報がどうなのかということを理解してレースをスタートすればいい。急ぐ必要はまったくなかったと思う。だからすべてが正しい形で行なわれたと思う。安全が第一なんだ」

「私は下された決断を支持する。不必要な大きなリスクを取ることは、意味がない。そしてあのコンディションでは、レースできるわけもなかった」

「マシンはいたるところでアクアプレーニングを起こしていた。視界も悪かった。そしてチームの観点からは正直に言って、今年の予算上限の中では、各チームがどれだけパーツを減らしているかを理解している。今回のレースでよかったことのひとつは、2台のマシンが無事だったということだ」

「チームとしては、断続的に雨が降る可能性があるということは、天気予報を見ても明らかだった。そのため、雨が軽くなる時間まで待つ必要があったと思う」