メルセデスでチーム代表を務めるトト・ウルフは、ルイス・ハミルトンがジョージ・ラッセルに負け越しているのは、単に不運が連鎖しているからだと考えている。

 2019年にウイリアムズからF1デビューを果たしたラッセルは、今季メルセデスに昇格。アルファロメオに移籍したバルテリ・ボッタスに代わって、ハミルトンの新しいチームメイトとなった。

 ラッセルはFIA F2時代に圧倒的な速さを見せ、ウイリアムズでは戦闘力に欠けるマシンでも雨を活かし2位表彰台を獲得した。

 2020年のサクヒールGPではハミルトンの代役としてメルセデスをドライブ。メルセデスの育成ドライバーとしてキャリアを重ねてきたことからすぐにチームに馴染み、今季開幕から速さを見せることは予想ができた。

 今季、技術規定が大幅に変更されたことでメルセデスは開幕から大いに苦戦してきたが、その中でもラッセルは、ハミルトンに対して予選で4対3、決勝レースでは6対1と勝ち越し。ドライバーズランキングでも4番手のラッセルに対して、ハミルトンは34ポイント差の6番手と大きく差が開いている。

 若者がベテランに引導を渡すかのような現状を、開幕前に予想できた人は少なかっただろう。しかしその内訳を見てみると、ハミルトンはシーズン序盤のレースではセーフティカー導入のタイミングによりピット戦略が狂い、スペインGPでは予選で好位置につけながらも決勝レースはオープニングラップの接触で後退。直近のモナコGPでは重要な予選で赤旗により思うようなタイムを出せていなかったというケースもあった。

 こうした点からウルフは、ハミルトンがラッセルの成績に並ぶためには”不運の連鎖”を止めるだけで十分だと考えているのだ。



 ラッセルがハミルトンを打ち負かすのは、もはや当たり前のことになったのかとウルフに尋ねると彼はこう答えた。

「いや、ルイスに起きた悪い”呪文”……つまり(モナコGPでの)レースを見てみると、彼はまたもどうしようもない状況だった」

「エステバン(オコン)とは接触、フェルナンド(アロンソ/共にアルピーヌ)に詰まり、予選では赤旗。ただ振り子は振れるもので、ルイスのこうした不運な状況がなくなれば、ふたりは同じペースになると思う。フリー走行では、ひとりがリードして、もうひとりもリードする。それは素晴らしいことだ」

「彼らは、我々のマシンを正しくするために協力し合っている。我々にはそれが必要なのだ」

 開幕序盤はハースやアルファロメオに後塵を拝すことも少なかったメルセデスだが、スペインGPでの大型アップデートもあり、現在はレッドブル、フェラーリに次ぐグリッド3番手の速さを誇るチームへとパフォーマンスが改善したように見受けられる。

 ただウルフは、ランキング3番手が現在の「自分たちの位置ではあるが、望んでいる場所ではない」ことを認めている。

「現時点では、我々のチームは3番手にいるに過ぎない。だから(ふたりのドライバーの)順位は5番手と6番手なのだ」

「そこが我々の位置ではあるが、望んでいるところではない。(トップ勢が崩れた際に)表彰台を受け継ぐことができるのは良いし、長期的にはポイント面でも良いことだ」

「しかし、私はそんなことを望んでいないし、トップで優勝争いに加わっていたい。ここで学んだことが、また長期的にパフォーマンスを発揮するための重要な礎になる」