ポルシェは、2023年からLMDh車両を導入し、耐久レースのトップクラスに戻ってくる。だがプログラムの焦点を切り替えるため、LM-GTE Proクラスの911 RSR-19がル・マン24時間レースに参戦するのは今年が最後になると明言した。

 現行型の911 RSR-19は特にル・マンで、ライバルであるフェラーリやコルベット、アストンマーチンに対して競争力に苦しんできた。

 2020年のル・マンでは、ジャンマリア・ブルーニが駆った91号車がポールポジションを獲得したものの、技術的な問題が続発。クラス4位と5位に終わった。

 昨年はクラス3位、4位と順位を上げたが、フェラーリやコルベットを脅かすほどのペースは持ち合わせていなかった。

 ポルシェは今季のル・マンに、91号車(ブルーニ/リヒャルト・リーツ/フレデリック・マコヴィッキィ)と92号車(ケビン・エストレ/マイケル・クリステンセン/ローレンス・バンスール)の2台体制で臨む。

 ポルシェのモータースポーツ責任者であるトーマス・ローデンバッハは、最高の形でGTEプログラムを終了するために必要なモノは全て揃っていると語る。

「我々はWECランキングリーダーとして、十分な準備と大きな決意を持ってル・マン24時間に挑む」

「ワークスチームが2台の911 RSRで伝統あるクラシックレースに挑むのは、今回が最後だ」

「我々にはまだ、そこで決着をつけなければならないことがある。2019年(8月)にデビューして以来、我々のクルマはWECカレンダーのほぼすべてのレーストラックで勝利している。しかしル・マンでのGTE Proクラスの勝利だけが、我々の成功のリストに欠けているのだ」

「この状況を変えたい。我々のRSR、6人のワークスドライバー、そしてチームには、その能力があることは間違いない」


 ポルシェが最後にル・マンのLM-GTE Proクラスで勝利したのは2018年。この年はポルシェが4台体制で参戦。往年の名カラーリングを復刻し、91号車はロスマンズ、92号車はピンクピッグカラーを纏った。

 この年は欧米6メーカーのワークスチーム(コルベット、フォード、BMW、アストンマーチン、フェラーリ、ポルシェ)による激しい戦いが繰り広げられたが、92号車が優勝。91号車も2位となっている。

 当時も92号車をドライブしていたエストレは、「過去2年間、我々は911 RSRを正当に評価する結果を得ることができなかった」と語った。

「GTE Proクラスでの最後のル・マンで、この状況を変えたいと強く思っている」

「今シーズンのFIA WECは、開幕から2戦が好調で、チャンピオンシップをリードしている。しかしル・マンはコースが特徴的だから、常に万全の態勢で臨まなければならない」

 91号車のブルーニも、「過去2年間の失望の後、トップに返り咲きたいと思う。そのために必要なものはすべて揃っている」と話す。

「ファクトリーRSRの最後の舞台となるル・マンをクラス優勝で飾りたいというのが、みんなの願いだ。だから、モチベーションは最高潮に達している。 最初の1周をドライブするのが楽しみだけど、それと同じくらいに大観衆にも期待している」

 WECは2024年から、GT3をベースにした車両のクラスを新設。GTE規定は終了となる見込みだ。

 WECは2023年もGTEのカテゴリーを存続させるためには、少なくとも2メーカー4台のエントリーが必要だと明言しており、LM-GTE Proクラスが来年も継続されるかどうかは不明である。

 フェラーリも2023年にLMH規定のニューマシンでWECを戦う予定となっている。ハイパーカークラスでフェラーリとポルシェの戦いは続くが、LM-GTE Proクラスは予定より1年早く終了となる可能性がかなり高いだろう。