フェラーリのマッティア・ビノット代表は、シャルル・ルクレールが創設者エンツォ・フェラーリやティフォシからの寵愛を受けた故ジル・ビルヌーブと同様に、”跳ね馬の神話”を継承するドライバーだと考えている。

 フェラーリ・ドライバー・アカデミー出身のルクレールは、FIA F2で他を寄せ付けない速さを見せチャンピオンに輝くと、2018年にザウバー(現アルファロメオ)からF1デビューを果たした。

 わずか1年でフェラーリに昇格すると、第2戦バーレーンGPで優勝争いを展開し、ベルギーGPでは初優勝。チームのホームレースとなるイタリアGPでも勝利を挙げた。印象的な走りを見せたことで、ルクレールはすぐにファンの人気者に。次世代を担う”スター”としてフェラーリと長期契約を結び、2024年末までチームに残ることが決まっている。

 技術規定が大きく変わった2022年シーズン、ルクレールは戦闘力のあるマシンを武器に、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)とシーズン序盤からタイトル争いを展開。7戦中5戦でポールポジションを獲得し2勝を挙げ、ランキングトップのフェルスタッペンから9ポイント差の2番手につけている。

 ルクレールは、ゾルダーで行なわれた1982年ベルギーGPの予選で命を落としたジル・ビルヌーブの没後40年を記念して、フェラーリのホームコースであるフィオラノで行なわれたイベントに出席。そこでビルヌーブのフェラーリ『312T』をドライブする機会を得た。

 ビルヌーブは1977年から亡くなるまでフェラーリで活躍。タイトルこそ手にできなかったものの、その鬼気迫る走りはフェラーリの創設者エンツォ・フェラーリさえも魅了した。

 motorsport.comからルクレールとビルヌーブの共通点について尋ねられたビノット代表は、両者がファンから愛され、F1におけるフェラーリの”神話”を紡ぐドライバーだと語った。

「シャルルについて言えば、彼のドライビングや才能、そしてそれ以上に情熱……ファンが彼に向ける情熱だ」とビノットは言う。

「フェラーリの一員になることは、カヴァリーノ(フェラーリの跳ね馬)の神話を受け継ぐことでもある。それができるドライバーは数少ないが、シャルルはそのうちのひとりだし、ジルもそうだった」

「ジルはファンタスティックだった。ジルはたった6勝しかしていないが、全てのティフォシやカヴァリーノにとっては、彼が最高のドライバーであり続けている。それは彼のドライビングスタイルや振る舞い方、彼が示した情熱によるものだ」

「シャルルはその情熱を持っていると思う。それは素晴らしいことで、我々も同じく情熱的だ。彼が6戦以上勝てることを願っている」

 またビノットは、ルクレールがビルヌーブのマシンをドライブした後、現代までFIAやF1が高めてきたマシンの安全基準を改めて称賛した。

「当時と彼らのマシンを振り返ると、それらはとても危険だった」とビノットは言う。

「もしアクシデントが起きたら、どんな結果になるのかは分かりきっていた。過去のモノと比較すると今日のマシンはとても、とても安全になっていると言える。FIAやF1、そしてチームの努力の賜物だ」

「あのリスクの多さを純粋に受け入れていた(かつての)ドライバーは、本当に正気の沙汰ではなかったと言える。現在はより安全になっていると思う」