プラマックのヨハン・ザルコは、MotoGPカタルニアGPのスタート直後に起きた多重クラッシュで、中上貴晶(LCRホンダ)が他のライダーからの信用を失ったと語った。

 MotoGP第9戦カタルニアGPは、スタート直後の多重クラッシュで波乱の幕開けとなった。LCRホンダの中上貴晶が、ターン1へのブレーキングでコントロールを失い転倒。フランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)やアレックス・リンス(スズキ)を巻き込んでしまったのだ。

 バニャイヤのバイクのリヤタイヤにヘルメットが接触していたこともあって、ゾッとするようなクラッシュだったが、念のため一晩入院した中上は大きな怪我はなかったようだ。

 一方、リンスは事故により左手首を骨折してしまった。前戦イタリアGPでも中上と絡み、転倒していたリンスは怒り爆発。この件をレーシングアクシデントだと判断しペナルティを出さなかったスチュワードを批判した。

 イタリアGPの一件は、カタルニアGP金曜日に行なわれたセーフティ・コミッションでも取り上げられたようだ。中上のリンスに対するオーバーテイクがアグレッシブであることは認められたが、多くのライダーは中上のライディングを擁護していたという。

 カタルニアGPで3位を獲得したヨハン・ザルコ(プラマック)は、そんな矢先に起きた多重クラッシュによって、中上は彼を擁護したライダーからの信用を失ったと語った。

「僕たちはセーフティ・コミッションでそれについて話したんだ。ムジェロでのアクシデントについて、リンスが僕らに意見を求めてきたんだ」

「中上はムジェロでミスを犯していないし、スチュワードが中上にペナルティを科すことはできないという意見で概ね一致したんだ。中上は、オーバーテイクの際にアグレッシブな走りをすることがある、ということでも意見が一致した」

「でも、彼はムジェロでは大きなミスはしていないんだ」

「しかし今日から、彼はセーフティ・コミッションで与えられた信用を完全に失ってしまった。彼にとっては残念なことだけどね」

「彼ら(スチュワード)が何というか分からないが、彼はリンスを倒してしまい、信用を失ってしまったんだ」

 カタルニアGPのウイナーであるファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)も、今回のクラッシュはレーシングインシデントだとみなされるべきではないと考えており、ライダーは1周目の事故の危険性をしっかり認識するべきだと主張している。

「あれはレーシングインシデントじゃない。あんなに攻めることはないだろう」

「ペッコ(バニャイヤ)が2番手で、中上はかなり離れていたのにペッコのホイールに頭をぶつけるなんてありえることなのか」

「レーシングインシデントじゃない。最初の数周は、大きなバイクで走っていること、最低でも160キロの重量があること、そして、こんなバイクにぶつかったら死んでしまうかもしれないことを意識する必要があると思う」

「そしてスタートが僕たちにとって最も危険なところなんだ。1周目を終えれば、リスクは少なくなる」

 2位でレースを終えたホルヘ・マルティン(プラマック)も、クアルタラロの意見に同意。ムジェロの件でペナルティを出さないというスチュワードの決定が、悪しき前例になったと付け加えた。

「僕にとっては、あれはレーシングインシデントじゃない。僕はムジェロの時点ですでに中上にペナルティが出るべきだったと思っている。なぜなら、彼はペナルティーを受けず、今は何でもできると考えているからだ」

「彼は同じことをした。もしペナルティがなければ、次のレースでも同じことをするだろう」

「他のライダーにとっても危険なんだ。彼はリンスの手首を骨折させ、自分の頭という大事な物も危険に晒した」

「ライダーが安心して走れるようなシステムを構築する必要がある。ペナルティーを科さないというのは、その方法ではないことは確かだ」