スーパー耐久のシリーズ第2戦として行なわれた2022年の富士24時間レース。そこで水素エンジン搭載の32号車ORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptをドライブしたヤリ-マティ・ラトバラは、水素の可能性は自身の“専門分野”であるラリーにまで広がるのではないかと考えているようだ。

 前年の富士24時間でデビューを果たした水素エンジン搭載のカローラスポーツ。ROOKIE Racingは2度目の挑戦にあたってサプライズを用意していた。元WRC(世界ラリー選手権)のドライバーで、現在はWRCでTOYOTA GAZOO Racing WRTの監督を務めるヤリ-マティ・ラトバラをドライバーに起用したのだ。

 トヨタ自動車の社長であり、『MORIZO』の名で水素カローラのステアリングを握る豊田章男からの誘いを受けたラトバラ。WRCラリー・イタリアを欠席し、チームのことはスポーティングディレクターのカイ・リンドストロームに任せた上で、2010年のニュルブルクリンク24時間以来となる24時間レースに挑戦した。

 水素カローラの32号車は途中アクシデントなどがありながらも、478周を走破して無事完走。ラトバラは水素エンジン車でのレースを楽しんだ様子で、レース後も明るい表情で「また来年もここに戻ってきたい」と話していた。

 そんなラトバラはレース前、ラリーにおける水素の可能性についても言及していた。

 WRCは2022年からハイブリッドシステムと再生可能燃料を使用した新たな車両規格『Rally1』をスタートさせ、持続可能な未来に向けた第一歩を踏み出したところだ。ただしFIAは既にWRCに対し、車両の駆動力に対して新たな選択肢を用意し、次のレギュレーションを計画するよう促している。

 もちろん、エンジンからモーターに動力源を変え、電動化を進めるというのもひとつの選択肢だろうが、ラトバラはラリーにおいては完全な電動化よりも水素エネルギーの活用がより良い選択肢であると考えている。

「ラリー界は今やハイブリッドの時代となったが、10年後には別の解決策を見出す必要がある」

「ハイブリッドは今の時代に適したものかもしれないが、私は新しい何かが必要だと思っている。ラリー界において水素はその選択肢になり得るし、逆に言えば完全な電動化は不可能だ」

「ラリーに音がなくなってしまえば、人々はわざわざ森や山の中に入ってまでマシンを見ようとは思わない。我々には音が必要なんだ。サーキットレースではそれほど重要ではないのかもしれないが、ラリーには必要だ」