FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長のF1ドライバーの“F1外”の活動に対する発言が波紋を呼んでいる。多様性の推進などの活動にも力を入れているルイス・ハミルトン(メルセデス)は、これを受けてさらに発信していくべきだと主張している。

 ベン・スレイエム会長は、スポーツ以外の問題に対する意識を高めるために、F1ドライバーが自分たちの高い知名度を利用することに疑問を呈しているのだ。

 モナコGP開催中”GrandPrix247”から、モータースポーツが『なってはいけないモノ』について聞かれたベン・スレイエム会長は「ニキ(ラウダ)や、アラン・プロストは、ドライビングにしか興味がなかった」と答え、更にこう続けた。

「今では、ベッテル(セバスチャン・ベッテル/アストンマーチン)がレインボー(LGBTの象徴カラー)を推し進めていたり、ルイスが人権に熱心だったり、ノリス(ランド・ノリス/マクラーレン)がメンタルヘルスの問題に取り組んでいる」

「誰もが考える権利を持っている。私としては、その件はスポーツの上に信じるモノを押し付けるべきかどうかを決めるのか、ということだ」

「私はアラビア文化圏の出身であり、国際的かつイスラム教徒でもある。私が他の人たちに対して自分の信念を押し付けるか? まさか! 絶対にないことだ」

 その後、ベン・スレイエムは自身のTwitterには、前述の発言を翻すかのようなコメントを寄せた。



「ドライバーとして、私は常にスポーツというモノは社会を前進させる触媒であると信じてきた。だからこそ、持続可能や多様性、包括性を促進することが、私の使命における重要な優先事項なんだ。同様に、私は全てのドライバーそしてチャンピオンたちの、より良い未来へのコミットを尊重している」

 こうしたベン・スレイエムの発言について、ハミルトンはFIA会長の見解がどうであれ、自身の活動を緩めることはなく、全てのF1ドライバーは身近な問題について”率直に”話すべきだと語った。

「僕らがしていることを、止めさせるようなものじゃないよ。このスポーツは継続的に成長していて、ファンもこれまで以上に増大している……僕らの声をあげるための、重要な場であり続けているんだ」

「ここにいる、僕らひとりひとりが、仲間内、業界内でより多くのことを話して、さらにたくさんの対話を引き起こすことが可能だ」

「そのペースはとてもゆっくりなものだ。僕たちは、もっと多くのひとがこの場を活用できるようにする必要がある。僕は全てのドライバーに対して、自分の大切にしていることについて、この先もっと率直に話してほしいと思っている。セブ(ベッテルの愛称)がしていることを目にするのも、彼の味方でいることも誇りに思うよ」

 ハミルトンの語るように、ベッテルはF1以外の環境問題などにも熱心で、最近では同性愛者向けの雑誌“アティチュード”の表紙にもなっている。

 ベッテル側も、ハミルトンの多様性推進の取り組みを称賛しており、ドライバーが発信していくことは重要なことだと話した。

「ルイスが取り上げ続けているトピックスや、ランドが語っている問題、そして僕の言及しているモノは、取り組むべき非常に重要なトピックスだと思う」

「そうした問題は僕らよりも、そしてこのスポーツよりも巨大なモノだ」

「それらに言及し、表現し、意識を高めて、僕らに改善のできることはたくさんあるんだと気づいてもらうようにすることが、重要なんだ」