今シーズンのF1は、フロア下で発生するダウンフォース量が増減することでマシンが上下動するポーパシング現象に見舞われており、先日行なわれたカナダGPの際には、FIAが介入に向けて一歩踏み出した。

 これを受けて各F1チームの技術陣の主要人物が今週中にもFIAと会談を行ない、ポーパシング論争に関する解決策を見出すために話し合う予定であることが分かった。

 多くのマシンがポーパシング、あるいはバウンシングと呼ばれる現象に見舞われているのは、シーズン開幕前のテストの時点から明るみに出ていた。しかし、この問題が本当の意味で深刻化したのは、アゼルバイジャンGPのことだった。メルセデスのルイス・ハミルトンはレース中に背中の激しい痛みを訴え、レース後にはマシンを降りるのもままならなかった。他の多くのドライバーも発言を行ない、たとえばアルファタウリのピエール・ガスリーは、「30代で杖をつくなんてありえない」と、現状への懸念を語った。また視界の問題を訴えるドライバーも数多くいた。

 FIAは安全上の理由として、カナダGPを前にこの問題への介入を表明。これはさらなる議論を引き起こすこととなった。

 FIAはカナダGP直前に技術司令を出し、マシンの上下動や路面への接触などに関するデータを収集すること、そしてフロアのたわみを抑えるために、追加のステーを許可することなどを通達した。しかしカナダGPの開幕までにはあまりにも時間がなかったため、対応できるチームと間に合わないチームとの間でパフォーマンス上の差が生じてしまう可能性があると指摘された。

 またFIAは技術司令を発表しただけであり、レギュレーションには変更を加えていなかったので、2本目のステーを追加したメルセデスは、抗議される可能性があることを考えてステーの装着を取りやめる判断を下した。

 これらのことに関しては、チーム間で意見が衝突。各チームの代表が非難し合うという事態にまで発展した。

 FIAは、今週後半にシングルシーター部門のテクニカルディレクターであるニコラス・トンバジスが、各F1チームのテクニカルディレクターたちとミーティングを行ない、今回の事態を前進させようとしている。そしてこれにより、解決策を導き出すために、より最適なアプローチを見出すことが期待されている。

 なお今回のミーティングでは、FIAがカナダGPの際に収集した各マシンの垂直振動に関するデータの分析、そしてそれに対して制限を課すことが可能かという議論も含まれる可能性がある。

 FIAはまた、2023年のテクニカルレギュレーションを変更する可能性についても、各チームから情報を引き出そうと考えている。これにより、長期的にポーパシング問題を解決することを目論んでいる。これには、空力面の変更、サスペンションシステムの改訂、さらにはマスダンパーなどのツールを解禁することなども含まれる可能性があると見られる。