ポルシェ・モータースポーツのトーマス・ローデンバッハ代表は、新LMDh車両『963』を走らせるファクトリードライバーとして選出されたアンドレ・ロッテラーが、現在所属している同社のフォーミュラEチームを今シーズン限りで離脱すると発表した。

 963がデビューを遂げる世界耐久選手権(WEC)とIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権(IMSA)の2023年シーズンに先立ち、6月24日(金)にフェスティバル・オブ・スピードが行なわれているイギリス・グッドウッドで、ポルシェはファクトリーチームとなる「ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ(PPM)」参戦体制の概要を発表した。

 そこにはフォーミュラE参戦中のロッテラーの名前も掲載されており、新世代マシン『Gen3』が導入されるフォーミュラEの2022-23年シーズンへ彼が参加するかどうかは「まだ決定していない」としてきた。

 しかし、ローデンバッハは来季彼がふたつのカテゴリーへ参戦することを否定した。ただ耐久レースを戦う傍ら、フォーミュラEにドライバー以外の形で継続的に関わる可能性があることを強調している。

「アンドレが我々のチームでフォーミュラEを続けることはない」

 ローデンバッハはmotorsport.comにそう語った。

「しかし、それはレースと別の役割を持つこととは違う。知っての通り、彼はフォーミュラEで長年の経験を持っているのだから、その経験値を使わないのは愚かなことだ」

 ロッテラーは日本でキャリアを築いた後、アウディからWECに参戦。2011年と翌2012年、2014年にル・マン24時間を制している。ポルシェでは、LMP1車両『919 Hybrid』プログラム最終年の2017年にチームで走った。

 そうした経歴から、ロッテラーをプロトタイプマシンでの耐久レースに呼び戻す決断は当然のことだとローデンバッハは言う。

「アンドレはプロトタイプレースで多くの経験を持っており、それは我々にとっても有益なことだ。最終的には、彼が一緒にLMDhプログラムへ転向することを決めた」

 そのロッテラーは、フォーミュラEを去るという決断は難しいモノだったとしながらも、再び耐久レースを戦いたいという意思があったことを明かした。

「耐久レースに戻りたいという強い願望があったが、簡単な決断ではなかった」

 ロッテラーはmotorpsport.comにそう語った。

「フォーミュラEは本当に面白くて、競争が激しくて、僕はとても楽しめている」

「ポルシェと共に(2023年の)選択肢を検討し、一緒に良い決断が下せたと思う」

 ロッテラーはポルシェと共に、輝かしいル・マンでの記録をさらに更新することを強く望んでいる。

「幸運にも、僕はル・マンで3度も優勝することができた。しかしもっと多くのことを成し遂げて、もっと多くの歴史を築いていくという願望が僕の中にあるのは確かだ」

 ポルシェが金曜日に発表したPPMのドライバーには、ケビン・エストレ、ミカエル・クリステンセン、ローレンス・バンスール、マット・キャンベル、マシュー・ジャミネとワークスドライバーの名前が並んだ。

 既にマシン開発を進めているフェリペ・ナッセとデイン・キャメロンを含めて、これまで発表されているドライバーは計8名だ。しかし PPMでマネージングディレクターを務めるジョナサン・ディウグイドが以前に、10名体制(WECに6名、IMSAに4名)で挑むと公表していたことから、ファクトリーチームの空席は残り2席となる。

 ポルシェは既に発表された8名のドライバーをどちらのカテゴリーに配分するかはまだ明らかにしておらず、ローデンバッハは残りのシートについては未決定だと語った。

「いくつかの候補はあるし、話し合いも行なっているが、まだ決定した訳ではない」

 また彼は、ロッテラーの後任となるフォーミュラEの1席についての言及を避け、もう1席に座っているパスカル・ウェーレインが来季もチームに留まるかどうかについても口を開かなかった。

「我々はまだ、来季のラインナップを公表していないが、今後、公表していくつもりだ」