「F1ドライバーへの暴言は根絶されるべき!」とラッセル、心ない誹謗中傷が向けられる現状を痛烈批判
F1に限らず、どのようなスポーツにおいても特定のチームやドライバーを応援するあまり、そのライバルチームやドライバーに対し罵詈雑言を向けるファンは少なくない。そしてソーシャルメディアの発達により、ドライバーやチームに対して直接的にその感情を一方的にぶつけることが可能となったことで、そうした意見が益々顕在化している。
ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、カナダGPのドライバーズパレードで実際に受けた暴言を例に挙げて、こうした現状について強く批判した。
「知名度が上がれば、間違いなくプラスになることは沢山あると思う」とラッセルは言う。
「でもマイナス面もあって、考え直す必要があるモノもあるんだ」
「モントリオールでは、誰かが僕の名前を叫んでブーイングをしてきたんだ。僕は、ドライバーズパレードでクルマの中に座っていた。それで35〜40歳くらいの知りもしないおじさんが、僕にブーイングを浴びせるというのは、理解に苦しむ」
「僕はただ、自分のことはさておき、全てのレースでベストを尽くし、良いショーを見せようとしている。みんなに対して礼儀正しくして、快く対応しようと思っているんだ」
「慣れるべきモノもあるだろうし、残念だけど現状はこれが僕らのいる世界であり、そういう社会なんだと受け入れることも必要なんだ」
「でもこれもまた、根絶すべきモノの一例だ」
「あの男にブーイングする権利はあるのか? サッカーでもファンが選手に罵声を浴びせる権利はあるのだろうか?」
「選手はただ自分自身の仕事をし、キャリアを積むためにベストを尽くしている。多くの人が、こういう立場にあることをきちんと理解できていないんだと思う」
また、F1界では最近もネルソン・ピケによるハミルトンに向けた人種差別的発言が問題となり、ピケはF1パドックから追放。F1直下のFIA F2ではユーリ・ヴィップス(ハイテック)が、こちらも人種差別的発言によりレッドブル育成プログラムから蹴り出された。
それが人種差別へ対するF1界の姿勢であり、チームやドライバーなどF1関係者も人種差別根絶のメッセージを示している。
F1ドライバーで構成される団体「グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション(GPDA)」の理事を務めるラッセルは、こうした出来事だけでなく、ドライバーを取り巻く環境にも目を向けている。ネット上で意見交換が行なわれることは歓迎する一方で、他人を傷つける誹謗中傷は根絶すべきだと彼は考えているのだ。
「モータースポーツ界だけじゃなく、社会の中で起こるあらゆる人種差別を根絶するために、僕ら全員がもっと努力する必要があることは明らかだ」と彼は続ける。
「それはこの件にとどまる話ではなく、ネット上で受ける暴言にも言えることだと思う」
「多くの人々が集まり、それぞれの意見を述べることは素晴らしいことだと思う。僕らもみんな、もっと努力する義務があると思う。今の時代に、まだこんなことが続いているだなんてただただショックだよ」