メルセデスのジョージ・ラッセルは、F1イギリスGP決勝レースのスタートタイヤにハードタイヤを選んだことで後方に飲み込まれ、周冠宇(アルファロメオ)との接触につながったと考えている。

 イギリスGPの決勝では、スタートで多重クラッシュが発生した。

 周とスタートで出遅れたラッセルの間にいたピエール・ガスリー(アルファタウリ)が挟まれ、ガスリーの右フロントとラッセルの左リヤが接触。ラッセルはマシンコントロールを失った。

 ラッセルは左側にいた周のマシン側面に激突し、その衝撃で周のマシンはひっくり返った状態でターン1へ向けて滑っていった。アウト側のグラベルで跳ねたマシンは回転しながらタイヤバリアを飛び越えデブリフェンスに受け止められた。

 後方では、このクラッシュを避けようと減速したアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)がセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)に追突され、エステバン・オコン(アルピーヌ)や角田裕毅(アルファタウリ)も巻き込まれた。


 予選8番手のラッセルはスタートの状況を振り返り、スタートタイヤにハードタイヤを選択したことで蹴り出しが悪く後続に飲み込まれたため、後方の周やガスリーの位置にいたと説明している。

「彼だけでなく、観客のみんなにとっても怖い出来事だったと思う」とラッセルは言う。

「見ていて気持ちの良いモノではない」

「土曜日の予選で十分な仕事ができなかったから、ハードタイヤでスタートすることに賭けたんだ」

「トリッキーなレースになることは分かっていたけど、スタートで完全にみんなに飲み込まれてしまった。気づいたら周の横にいた。色んな感情が混ざり合っているよ」

 宙を舞った周のマシンは上下逆さまの状態でバリアとフェンスの隙間に挟まり、駆けつけたマーシャルやメディカルスタッフの救助により、周はコックピットから抜け出すことができた。

 ラッセルはダメージを負ったマシンをターン1に止めると、安否を確認するため周のもとに駆けつけた。その状況を間近で目にしたラッセルは、安全性のさらなる改善を検討する必要があると語った。

「あの位置で、彼は動けなかった」とラッセルは続ける。

「彼はどうすることもできなかったんだ」

「タイヤバリアと金属フェンスの間にある、あの小さな隙間にマシンが挟まってしまうことを回避する必要があると思う。彼はあそこに挟まって、逃げ場を失ってしまったんだ」

 周の救出が完了し安否が確認されたことで、ラッセルはマシンに戻り再スタートを試みたものの、結果としてマシンはトラックの荷台に載せられピットへ戻された。

「(バリアから)戻ってきた時、マシンがなかなかスタートしなくて、チームにも確認を取りたかったんだ」とラッセルは言う。

「(ピットに)戻ってきた時、すでにマシンはトラックの荷台に積まれていて、再スタートは無理だと言われた。問題はパンクだけだっただけに残念だ」

「マシンはおおむね大丈夫だった。少しダメージがあったけど、リタイアするほどじゃなかった」

 ピットでラッセルは、FIAの車検担当であるテクニカルデレゲートのジョー・バウアーに、トラックを使用してピットエリアにマシンを戻すなど外部の助けを得たため再スタートはできないと諭されていた。

「どうも、アシストを受けた時点で再スタートはできないみたいだ」とラッセルはSky Sportsに語った。

「マシンはパンクしただけだったから、とても悔しいよ。今回は6位まで挽回できるペースがあったのは間違いないんだ」

 ラッセルは、トップグループへの仲間入りに向け好調なメルセデスを駆り、母国レースに臨んだが、無念のリタイア。これによりラッセルだけが続けていた開幕からの全戦入賞は、ここで途絶えることとなった。