2022年のレギュレーション変更により、F1マシンはグラウンドエフェクト・カーとなった。しかし、その副作用としてポーパシングと呼ばれる、マシンの上下動が意図せず発生するようになってしまった。

 全てのチームがポーパシングを多かれ少なかれ経験しているが、マシンが上下にバウンドすることでドライバーの安全性が懸念されるような事態となった。そのためサマーブレイク明けのベルギーGPから、FIAがマシンのバウンドを抑制すべく介入することを決定した。

 チームからは賛否両論あるこの動きだが、これは一時的な措置に過ぎない。FIAは2023年に向けてレギュレーションを変更することで、ポーパシングが今後障害となるリスクを減らそうとしている。

 このルール変更は先週行なわれたF1技術諮問委員会で議論され、FIAの世界モータースポーツ評議会に提出される予定となっている。

 この会議で提案されたのは、車両のデザイン範囲を狭め、フロアの一部を持ち上げて地面から離すという案だ。

 これには、フロアのエッジを25mm高くし、ディフューザーの立ち上がり部分を持ち上げることが含まれている。

 それに加え、チームが過度にフロアのエッジを曲げ、こうした変更を台無しにすることがないよう、フロアの横方向のたわみテストが厳格化される予定だ。

 さらにFIAは、より正確なセンサーを導入し、より綿密にマシンの振動をモニタリングすることを目指している。また空力的な問題をさらに抑制するために、チームはディフューザー内に2本のストレーキを追加することも提案している。

 ストレーキの追加はこの領域の気流管理と、バウンシングとポーパシングによってもたらされる悪影響への対処に役立つはずだ。確実にドライバーに歓迎されるだろう。

 このような措置は、多くの点で2021年に行なわれた空力規則の微調整と似ている。2021年はタイヤに過度の負担をかけないよう、ダウンフォースが削減された。今回の変更は、シャシーにかかるピーク荷重を減らし、ポーパシングやバウンシングの可能性を低減するのに役立つからだ。

 とはいえ、チームは新しい指標に違反することなく、可能な限り車高を下げてフロアの剛性を高める方法を探すだろう。たとえマシンの乗り心地を損ねたとしても、それによってパフォーマンス向上につながるからだ。

 このレギュレーション変更は、すでに来年のクルマの開発作業が始まっているチームにとっては、開発のバランスを取る上で大きなプレッシャーになることは間違いない。このため、FIAは変更案をできるだけ早く世界モータースポーツ評議会での承認を目指すと明言している。

 このような非常にデリケートな部分に変更を加えることは、チームがすでに来年のマシンのために行なってきた作業を台無しにするだけでなく、今シーズン後半に行なう開発の一部も無駄にしてしまうことになり、チームが見つけたパフォーマンス向上の道が今回の変更によって無意味なものになるかもしれない。

 シミュレーションツールでは問題ないとされていたにも関わらず、シーズン初めにほとんどのチームがポーパシングに見舞われたことを考えると、ライバルに差をつけようとシーズン終盤にテストパーツを持ち込んで実走行データを取ろうと考えるチームが現れる可能性は十分にある。

 2020年シーズン終盤にいくつかのチームが2021年規則に対応したフロアをテストしたように、新しいレギュレーションの意味を理解するのに役立つかもしれない。