フェラーリは、F1フランスGPでのカルロス・サインツJr.のレース戦略について、混乱していた様子だったものの、判断は正しかったと主張している。

 ポールシッターのシャルル・ルクレールがレース序盤でクラッシュしたため、フェラーリはパワーユニット交換のペナルティで最後列スタートとなったサインツJr.を、可能な限り上位に送り込むことを目指した。

 上位陣とは異なり、ハードタイヤでレースをスタートしたサインツJr.だったが、ルクレールのクラッシュにより出されたセーフティカー中にピットイン。ミディアムタイヤからハードタイヤに履き替えたマシンと同じタイミングで、ミディアムタイヤを装着することになった。

 この時点で53周のレースは残り35周。ハードタイヤならまだしも、ミディアムタイヤを履くサインツJr.が最後まで走り切るのは厳しい距離が残っていた。さらに、フェラーリはピット作業を終えた後、危険なタイミングでサインツJr.を送り出すというミスも犯した。これでサインツJr.はアンセーフリリースによる5秒のタイム加算ペナルティを受けてしまったのだ。

 しかしサインツJr.のペースは良く、3番手を走るセルジオ・ペレス(レッドブル)に接近。表彰台獲得も狙える位置まで追い上げたのだ。

 ペレスを抜いた上で差を広げ、何とかタイヤを保たせれば表彰台を獲得できるかもしれない……そんなタイミングでの、フェラーリの戦略判断は実に優柔不断なモノだった。

 サインツJr.が2度目のピットインを要求すれば、ステイアウトを指示。しかし直後に、判断を翻してピットインを指示し、サインツJr.に拒否されるというやり取りが、無線で行なわれたのだ。

 結局、サインツJr.はペレスを攻略した後に2度目のピットインを実施。その際にペナルティを消化したことで9番手まで落ちたサインツJr.は、残る11周で5位まで追い上げてチェッカーを受けた。

 一連のやり取りは、フェラーリの決断力不足をまざまざと感じさせるモノだった。チームは今季すでにモナコGPで戦略判断を誤り、優勝を逃すという大きな代償を支払っているにもかかわらずだ。

 サインツJr.も戦略について「僕はもう少しリスクを負いたかったが、チームはベストを尽くしてくれたと信じている。安全策を採ったことは理解できるけど、今後一緒に分析していかないといけない」と、歯切れの悪いコメントを残している。

 しかし、フェラーリのマッティア・ビノット代表は、タイヤのデグラデーションとペナルティを受けていたことを踏まえ、チームの戦略判断が正しかったと信じている。

 ビノットは、「我々がした選択は、適切で正しいものだったと思う」とmotorsport.comに語った。

「コックピットのカルロスはすべての情報を持っていなかったから、判断するのは難しかったと思う。でも間違いなく、我々は正しい選択をしたと思う」

「まず、彼のスティントを可能な限り延長し、タイヤライフを最適化することで、少なくともオーバーシュートしないようにしようとしたんだ」

「しかし、必要な情報をすべて入手した途端、レース終了まで走れるだけのタイヤライフがないことに気がついた。単純な話だ」

「安全性、信頼性、そしてタイヤの寿命を考えると、そのまま走り続けるのはリスクがある。だから、ストップせざるを得なかった」

「それ以上に、カルロスのペースでは、ペレスや(ジョージ)ラッセルとの差を5秒以上開き、ペナルティをカバーすることはできなかったと思う」

「だからストップするのは正解だった。また、そうすることでファステストラップを記録することができ、チームとカルロスにとって重要なポイントを得られたんだ」