ポーパシングやバウンシングといった、ドライバーに悪影響を及ぼす可能性のある上下動を根絶しようとしているFIAは、来シーズンに向けてフロアに関するレギュレーションを変更することを検討している。F1チームはこれに対し、レギュレーションの決定が遅くなりすぎることがないよう、要請したようだ。

 今季のF1マシンは、レギュレーションの変更によりグラウンド・エフェクトカーになったことに伴い、ポーパシングやバウンシングといった問題に悩まされ、ドライバーの身体面および視界などに大きな問題が生じることが懸念された。

 FIAはこの解決に躍起になっており、今シーズン中からその振動を計測することを決定。さらに来シーズンに向けては、レギュレーションを再度変更することを目指している。

 FIAが目指しているのは、フロアを路面から離す方向性だと言われている。具体的にはフロアの端を25mm持ち上げると言われているが、これについてはいくつかのチームは反対する姿勢を見せている。

 motorsport.comの取材によれば、この規則変更に反対しているのは少なくとも5チームであり、当該のチームは既に解決済みの問題であるとして、フロアに関する規則の変更を大幅に減らすことを求めているという。そしてその主張を推進するため、FIAのモハメド・ベン・スレイエムに対して働きかけを行なっているようだ。

 フロアの端の持ち上げる数値を10mmにするという妥協案には、過半数のチームは賛成する意向を示している。しかしながら今度はFIAが、その程度の変更では不十分であると反対しているという。

 ただいずれかの変更が行なわれるのであれば、できるだけ早く最終決定を下す必要がある。既に各チームは来季用マシンの開発に着手しており、その開発作業を無駄にしないためにも、一刻も早い最終決定が求められるのだ。

 アルファロメオのテクニカルディレクターであるヤン・モンショーは、この件について次のように語った。

「この変更が2024年に向けて行なわれることを望んでいる。2023年に向けて変更されるのなら、シャットダウン(夏休みの作業禁止期間)の直前が、許容できる最後のタイミングだと思う」

 そうモンショーは語った。

「シャットダウンの後、ほどんとのチームは2023年のマシン開発に全力を注ぐ。議論されているような本質的な変更は、多くの開発計画を混乱させるだろうと思う」

 レギュレーション変更に好意的なメルセデスでさえ、2023年に向けた計画がどのようなものなのか、FIAが説明する必要があると考えている。

「我々が望んでいるのは明快さだ。彼らはレギュレーションを変更するつもりなのか? もしそうなら、我々はそれに同意するつもりだ」

 そう語るのは、メルセデスのトラックサイド・エンジニアリングディレクターのアンドリュー・ショブリンだ。

「実際に、今のマシンは路面に非常に近いところを走り、常に路面に当たっている。それを軽減したり、改善することはできるが、根本的に変えたいのなら、規則を明確に変更する必要がある」

 マクラーレンのテクニカルディレクターであるジェームス・キーも、次のように語る。

「長い開発期間が必要なアイテムやギヤボックスなどのことを考えれば、すでに少し遅いと思う。毎年この時期には、かなり成熟するモノだからね」

「それを理解するためにも、かなり遅すぎる。だから最終的な数値を知るのは、早ければ早いほどいいんだ」

 前述のモンショーは、アルファロメオのような小規模チームにとっては、決定が遅れているのは理想とはほど遠いと語る。

「テクニカルディレクターとしての問題点は、投入する必要がない可能性があることに、リソースを費やさなければいけないということだ。もし採用されなかったとしても、少なくとも白紙なんだからね」

 そうモンショーは言う。

「だから、何かを見逃していないということを確実にするために、より多くの努力をする必要があるんだ。25mm持ち上げるということになれば、そのことが役割を果たすことになるだろう。コストキャップにも取り組んでいるから、テクニカルディレクターとしては困難が増えるということになる」

「我々は今後数年間にわたって開発にどのように取り組んでいくか……その戦略的な方向性を持っている。そのためにも、ルールにはある程度の安定性が必要であることは明らかだ」

「6ヵ月ごとに、境界に関する制約が変更されることになるなら、それは我々の日々をとても複雑にするだけだよ」