F1では現在、2023年に向けてフロアのレギュレーションを改定するかどうかについて議論が繰り広げられている。ただ、マシンのポーパシングやバウンシングを抑えるためにフロアの端を25mm引き上げるという動きは多くのチームに受け入れられていない。今から2023年型マシンの開発計画に変更を加えることは容易ではなく、コストもかかるからだ。

 FIA会長のモハメド・ベン・スレイエムはここ数週間で各チーム、ドライバーに聞き取りを行ない、状況への理解を深めて最終的にどのような結論を出すべきか検討している。フロアを10mm引き上げるという妥協案を望んでいるチームもあるが、ベン・スレイエム会長がそれを受け入れる保証もなく、FIAがこのままレギュレーション変更を推し進めるのであれば法的措置を講じるチームもあるのでは、という話も出ている。

 そんな中でも、メルセデスはフロアの規則改定を歓迎するチームのひとつである。チーム代表のトト・ウルフによると、ハンガリーGPの週末に行なわれたベン・スレイエムとのミーティングでは、ポーパシングが脳に与える影響に関する医療報告書を見せられたと言い、彼はこれがFIAのアプローチに水を差すべきではないという根拠になっていると考えている。

「どちらの方向にロビー活動をするのかという話になっているが、これについて私は、『一体何の話をしているんだ?』と思っている」とウルフは語る。

「FIAは医療研究を依頼した。医師によると、1〜2Hz(の周波数)の振動を数分間にわたって受けると、脳にダメージを受ける可能性があるようだ。我々(F1ドライバーたち)は6〜7Hzを数時間に渡って受けているんだ」

「だから答えはとても簡単だ。FIAはそれについて何らかの対処をすべきだ」

 FIAがこのような報告書を提出したものの、全てのチームが安全性に懸念があることを確信しているわけではない。フェラーリは、ベルギーGPから導入される振動に関する新基準によって、十分ポーパシングを解消できると考えている。

 フェラーリのレーシングディレクターであるローラン・メキーズは次のように語る。

「我々は安全性の根拠について話すときには非常に慎重になる必要があると思う

「前回もここ(記者会見)で話し合ったと思うが、それはヘイロー(HALO)に関することだった」

「ロールフープのように、今後に向けて話し合うべき重要なトピックはいくつかある。だから、それらは我々がFIAと話し合っているようなポーパシング改善の議論とは分けて考えるべきだと思う。TD(ベルギーで施行される技術指令)が十分良い仕事をしていると思う」

 ここ最近のレースではポーパシングの問題が話題になっていないが、ウルフはこの問題が完全に解決したと考えるのは間違っていると考えている。

「今でも基本的に、FIAと我々が何か対策をする以外に選択肢はないと思っている」とウルフは言う。

「我々が何もしないまま、スパやその後に控える路面がスムーズではないサーキットを迎えて、『ああ、これは手遅れだ』と言われたくはない」

「ここ数戦、ポーパシングやバウンシングは起きていないじゃないかと言う人もいるだろう。しかし、そもそもシルバーストンもポール・リカールも、そしてオーストリアも、我々がバウンシングを起こすようなサーキットではないんだ」