フェラーリは、今季のF1で義務付けられている2度の若手ドライバーのフリー走行起用をクリアすべく、テストドライバーのロバート・シュバルツマンを残り9戦のうち2回走らせることを決めた。シュバルツマンとしては、初のF1公式セッションとなる。

 シュバルツマンは2019年にFIA F3でチャンピオンに輝き、FIA F2へステップアップ。F2で2シーズンを過ごし、初年度はドライバーズランキング4位、2年目はランキング2位を獲得した実力の持ち主だ。現在はテストドライバーとして、フェラーリのシャルル・ルクレールとカルロス・サインツJr.をシミュレータ作業を通じてサポートしている。

 彼の母国ロシアが今年2月からウクライナへ軍事侵攻を開始したことで、FIAはロシア籍のレーシングライセンスの下でFIA管轄のレースへ出場することを禁止。そのためシュバルツマンは、フリー走行にイスラエルのライセンスで参加することとなる。

 シュバルツマンは2021年の最終戦後に行なわれたアブダビでのルーキーテストで、フェラーリとそのカスタマーチームであるハースでドライブ。まだレース週末での公式セッションでの走行経験はない。

 シュバルツマンは、フェラーリの本拠地であるイタリア・マラネロでmotorsport.comのインタビューに応じ、フェラーリからのフリー走行出走について思いの丈を語った。

「この案には、少し興奮している」

「どのイベントで僕がコースに出るのかは、まだ正確には分からないけど、良い瞬間になることは間違いないね」

「レースの週末にフェラーリをドライブできることを誇りに思う。また、エンジニアと一緒にシミュレータで作業してきたことの相関関係を検証することにも興味がある」

「(シミュレータの)仮想マシンを限りなく現実に近いモノにすべく、僕らは多くの時間を改良に費やしてきた。今は、その仕事の成果を直接確認するのが待ち遠しいよ」

 フェラーリはシミュレータ施設に多額の投資を実施。新型は昨年末の試験運転を経て、今季から稼働を開始している。シュバルツマンは今季、フルタイムでのレース参戦を行なっていないため、フェラーリでの作業に”どっぷり”浸かることができているという。

 また、シミュレータ作業と実際のマシンとの挙動の相関関係を作り上げるべく、過去のマシンでプライベートテストを行なっていると語った。

 シュバルツマンは、近い将来F1シートを掴むという目標に変わりはないものの、少なくとも2023年シーズンのF1参戦は本人にとってもフェラーリにとっても、「まだ時期尚早だ」と明言している。

「チャンスを得るためにベストを尽くすよ」

 そうシュバルツマンは語る。

「もちろん、今シーズンの仕事が自分の助けになると良いね」

「正直に言って、僕には本当の”プランB”……もし僕がF1に行けなかった場合の代替プロジェクトがある訳じゃない。僕に何ができるだろうかと考えることもあるけど、今は完全にF1へ集中しているよ」

 フェラーリは4月、シュバルツマンがロシアからイスラエルのライセンスに切り換えて、フリー走行などF1参戦の機会を確保することを認めている。

 シュバルツマンはこれまでロシア籍でレースをしてきたが、生まれはイスラエルのテルアビブ。生後3年はイスラエルで過ごしており、イスラエルのライセンス取得の要件を満たしている。

「僕は常にイスラエルのパスポートを保持していた。そのため、ロシアとウクライナの情勢が悪化した時に、イスラエルのライセンスを取得したんだ」

 シュバルツマンはイスラエルのライセンス取得についてそう語った。

「結局のところ、僕はドライバーで、F1に登り詰めることが唯一の目標だ。モータスポーツ当局(FIA)がその後下した決定を待っている間に、フェラーリが僕をマシンに乗せる必要が浮上した場合に備えて利用できるよう、ニーズがすぐさま生じたんだ」

「可能性のあるチャンスを逃さないように、僕らは素早く対応したよ」