ハースF1でチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーは、特にNetflixのドキュメンタリーシリーズ「Drive to Survive」でその歯に衣着せぬ発言で有名になり、かなりの数のファンを持っている。

 彼が本心を隠すことはなく、自分自身やチーム、特にドライバーがドライブ中に犯したエラーに関しては、時にかなり厳しいコメントを口にすることもある。

 それが彼の個性であり、ただ美辞麗句を並べるビジネスマンとは一線を画している。そのためパドックでは、否が応でも彼の発言が注目を集める。

 ただ、物事を見たままに言うという彼の姿勢は、ネガティブな影響を生む可能性を帯びている。時に真実とは残酷になりうるのだ。

 公の場で個人を批判しすぎれば、士気は下がる。ドライバーのことを悪く言えば、彼らができる限り多くのサポートを必要としている状況で、さらに大きなプレッシャーを与えることに繋がってしまう。

 今季ハースは、F1参戦2年目を迎えたミック・シューマッハーに経験豊富のケビン・マグヌッセンを加えての布陣で臨んだ。”F1復帰組”のマグヌッセンが開幕戦でいきなり5位入賞を果たすなど目覚ましい活躍を見せた一方で、キャリア初入賞を目指すシューマッハーは、シーズン序盤のサウジアラビアGP予選とモナコGP決勝レースでマシンが真っ二つになるほどの大クラッシュを喫するなど厳しい戦いが続いた。

 この時シュタイナーは、ミスをミスと言う清さを貫きながらもチーム代表としてドライバーを守るという、絶妙なバランス感覚を求められた。若いシューマッハーにプレッシャーを与えないよう最善を尽くしつつも、「F1は実力主義のスポーツだ」とコース上での展開に不満があると公にすることを彼は恐れなかったのだ。

 2度目の大クラッシュ後、シュタイナーがシューマッハーについて発した辛辣なコメントは、確かに行き過ぎではないかとも思われた。しかしシュタイナーは、それが批判を浴びることだとしても、常に真実を語るべきだと明確な姿勢を示している。

「F1には隠れ場所はないと思う」

 シュタイナーは自身のマネジメントスタイルについてmotorsport.comにそう語った。

「完全な真実を告げないで後処理に追われるよりも、むしろ真実やその結果と向き合いたい。『何が真実なのか?』を私が言って、彼が言う」

「この方法なら、私が言うことは真実であり、みんなは信用してくれる。だから私はそう語る」

「そして我々はそれに対処して改善していくのだ。ひどいレースをしたときは、間違ったことをしないように学べばいい。ここでも同じことが言える」

 シュタイナーは、彼の発した厳しい言葉が当事者の気分を害する可能性を理解している。しかし決してチーム内の誰かを故意に怒らせるつもりはないとしている。

「もちろん、こうやっていると、誰も傷つけないようにするのは難しいことだ。それが私の目標だ」

「でも最前線にいるドライバーがミスをした時……例えばミックがクラッシュした時に、私は『問題ない。それについてかなり満足している』とは言えないのだ」

「私は『いいや、私はハッピーではない。我々はこれを乗り越え、経済的な損失を埋める解決策を見つけなければならない』と言う必要がある」

「『問題ない』とは言わない。そうしたら、あなた方(メディア)は『馬鹿じゃないの?』って言うだろうからね」

「これが私の人生に対する考え方だ。ただ思ったことを口にするだけで、誰も傷つけたくはない」