つちやエンジニアリングのスープラが、約3ヵ月ぶりにスーパーGTのパドックに帰ってきた。25号車HOPPY Schatz GR Supraは、テスト中の事故の影響で第4戦富士を欠場したが、今週末(8月27〜28日)に行なわれる第5戦鈴鹿で復帰を果たす。

 25号車は先月、鈴鹿で行なわれたタイヤメーカーテストの際に130Rでクラッシュ。ドライバーの野中誠太は大事には至らなかったものの、車両はフロント部分を中心にダメージを負った。このスープラは木野竜之介エンジニア率いるつちやエンジニアリングのスタッフが手作りで仕上げたマシンであるため、2週間後に控えていた富士戦にはエントリーせず、8月の鈴鹿戦での復帰を目指していた。

 クラッシュからは約1ヵ月のインターバルが空いたとはいえ、つちやエンジニアリングは非常に慌ただしい日々を過ごしていたようで、車両が組み上がったのは搬入日の2日前。事前のテスト走行ができないまま鈴鹿入りした。3月に富士で行なわれた公式テストがシェイクダウンとなった25号車。今回持ち込んだ車両も、土曜の公式セッションが実質のシェイクダウンとなる。

 フロント部分などが修復された25号車は、細部が見直されておりクオリティも上がっているという。ただ、そもそもこのスープラは全く同じものには作り直せないという前提があると木野エンジニアは説明する。

「変えたくて変えたというより、戻したくても戻せないというのが大前提です。このクルマ自体、ガレージにあった過去の部品を流用したりと現物を組み合わせて作らざるを得ない部分があるので、一回壊れると図面もないので元の状態がどうだったかが分からなくなってしまいます」

「そんな中、『どうせもう一回作るのであれば……』ということで、これまでの反省を活かして、イケてなかった部分を洗練させるような形で作ってきました。根本的に大きく変わっている訳ではありませんが、そういう意味ではバージョンアップしていて、クオリティは上がっているかと思います」

「前回は綺麗に作れなかった物の作り方を変えたりとか、『あそこは強度が強すぎたからもう少し薄くしよう』とか、色々ある訳です。そういうブラッシュアップをしていきました」

 “イケてなかった部分”を洗練させたという25号車。ボンネットにあるラジエターダクトの形状も変更されており、より綺麗に空気が流れるデザインを意識して、空気抵抗低減、ダウンフォース向上の両面が期待されている。メーカー系チームのように風洞や高精密な分析ツールを駆使して検証できないところはブライベーターのつらいところだが、送風機などを使って簡易的な実験を行なうなど、やれるだけのことはやっているという。

 事故直後はエンジンには問題がないのではないかとも言われていたが、実際に調べたところ、クラッシュによる破片がシリンダーを傷付ける形となってしまい、“再利用不可能”という判断が下されたという。エンジンの新規購入は大きな出費であり、そういう点でも結果が欲しいところだろう。

「第3戦まではパフォーマンスを見せられていなかったですが、テストではクラッシュが起きるまでかなりのパフォーマンスが出るようになっていました。トップレベルにはまだまだだけど、ポテンシャルは出てきた、光は見えていたという状態でした」と木野エンジニアは言う。

「そういう意味ではその続きをしっかり積み重ねて、鈴鹿でポイントを獲りたいです。JAFのクルマ(GT300規格の車両)の特性としては、鈴鹿、SUGO、オートポリスあたりは得意なはずなので、表彰台、できればそのてっぺんまで狙っていきたいですね」

 “ホピ子2”の愛称で親しまれている25号車。今回の修復で車両としてのクオリティが上がっているという点では、第5戦からの車両をアップデート版は“ホピ子2.1”と言っても過言ではないかもしれない。

「だいぶ普通になったなと(笑)。今回も手作りではありますが、前の方は手作りにも程があるという感じだったので、少しは綺麗になったのではないかと思います」と語る木野エンジニア。今週末は彼らの戦いぶりにも注目だ。