インディカーに参戦しているコルトン・ハータは、ピエール・ガスリーの後任としてアルファタウリ入りする可能性が噂されているが、現時点でスーパーライセンスの発給条件を満たしていない点が障害となっている。

 オスカー・ピアストリとの契約の有効性が認められなかったアルピーヌは、ガスリーの獲得を目指しており、レッドブルがそれに同意した場合、アルファタウリのシートがひとつ空くことになる。そのシートに座るドライバーとして、ハータが浮上しているのだ。

 新型コロナウイルスの影響もあり、現在はF1参戦に必要なスーパーライセンス発給条件が若干緩和されており、過去4シーズンのうち3シーズンの成績が考慮されることになっている。シリーズごとに割り振られたライセンスポイントを40点まで積み重ねる必要があるわけだ。

 ハータは、過去3シーズンのインディカー参戦でライセンスポイントが32点あるが、今季は現在ランキング10番手でライセンスポイントの上乗せは難しいと見られる。F1のフリー走行に参加することでもライセンスポイントを加算できるが、それでも40点には届かない。

 だがコロナ禍もあって、『スーパーライセンスの発行資格と条件』を定めるFIA国際モータースポーツ競技規則付則L項 第1章 第13条1.6項が見直されたことにより、『スーパーライセンスポイントを30点以上獲得している者のうち、その者のコントロールが及ばない状況あるいは不可抗力により、該当する資格を得ることができないとFIAに判断された者』にスーパーライセンス発行が許可されるケースもレギュレーションには記載されている。

 FIAは現在、この不可抗力のケースを利用して、ハータにスーパーライセンスを与えることを検討しているのだ。

 2023年のグリッドにアメリカ人ドライバーが登場すれば、スポーツ全体が盛り上がる可能性がある一方で、チーム代表たちはハータがどうやって資格を得るのかに疑問を抱いている。

 アルファロメオのフレデリック・バスール代表は、ハータのライセンスについて訊かれ、次のように答えた。

「私の見解では、不可抗力とは何の関係もない」

「なぜなら、彼は世界のあらゆる場所でチャンピオンシップを戦い、ポイントを獲得することができたからだ」

「今、FIAがポイントやスーパーライセンスのプロセスを止めたいのなら、それはまた別の話だ。システムを止めるかどうかは、彼らが決めることだ。そして、この制度がなくても我々は生きていける。でも、不可抗力とは関係がない」

「もしポイント配分を変えたいと思ったり、誰かがそれを提案したなら、議論できるシステムになっていると思う」

 バスールは、この制度はF1ドライバーの基準を維持するために導入されたものだと改めて強調した。

「スーパーライセンスとポイントについて決定したのは、F1とドライバーを守るためだ。大きな予算を持つものの、過去に結果を残していない10人のドライバーがF1にやってきて、グリッドの50%を占めることを避けるためだったことを心に留めておく必要がある」

「決定の理由がそれであり、意図的にそうしたのだ。それは良い決断だったと思う。あとはインディカーに、あるいはF3やF2のポイント配分を変えなければいけないかどうかは、また別の問題だ」

「私は比較はしたくない。年によって、全く違うからね」

 バスールは、アルファロメオも以前、ハータの獲得と調査を試みたことを認めた。

「昨年、アンドレッティと話し合いを持ったんだ。秘密でもなんでもない。ハータはテーブルの上にいて、スーパーライセンスの対象外だったんだ」

 ハースのギュンター・シュタイナー代表は、スーパーライセンスの要件は他のレギュレーションと同様に尊重されるべきであると注意を促した。

「私はもっと一般的なことを言いたいんだ」

「ルールやレギュレーションは尊重しなければならない。もし、自分たちのルールを尊重せず、それを回避する方法を見つけようとするならば、それは正しいことではない」

「それはコルトンのことだけではなく、他のことにも当てはまる。一般的なルールについて言っているんだ」

「自分たちで作り、自分たちでサインしたルールなんだ。ガバナンスがあり、それを尊重する必要がある。不可抗力があるかないか、それは議論の余地がある。しかし、フレッド(バスール)が言ったように、新型コロナウイルスはどこにでもあった。どのシリーズもレースができなくなることはなかったんだ」

「私は、ルールを尊重せず、それを回避する方法を見つけようとするなら、なぜルールがあるのか、と主張している一人なんだ。ルールを変える必要があるかどうかは、また別の話だ。変えたいのなら、それについて話しをしようじゃないか」

「ガバナンスがある以上、明日にでもルールを変えようというわけにはいかない。時間がかかるのだ。だから、もしあなたが間違っていると思うなら、つまり数年前(ニキータ・マゼピンの件)にも非常に似た問題があったのだが、その時はルールを見つけられなかった。だから、このような場合はそうしなければならないんだ」

 シュタイナーは、インディカーのトップドライバーはF1に参戦する資格があるはずだと認めた上で、それでもルールに従うべきだと強調した。

「スーパーライセンスを取得しているドライバーはかなり多いということだ」と彼は言う。

「アレキサンダー・ロッシやジョセフ・ニューガーデンがそうだろう。彼らはスーパーライセンスを取得し、ルールの範囲内でそれを行なった」

「もし変更する必要があれば、議論することができる。このルールが作られたとき、私はその一員ではなかった。だから、何を根拠に、なぜ今のようなポイント制が選ばれたのか、知らないんだ」

「もし、このルールを変えたいのであれば、話し合おう。しかし、それには関係者間の合意が必要だ」

 バスールやシュタイナーと対照的な意見を持っているのは、マクラーレンのアンドレアス・ザイドル代表だ。ハータに初めてのF1テスト機会を設けたチームであり、彼にチャンスが与えられることを切望しているという。

「一般的には、我々はこのシステムを信じているし、良いシステムだと考えている」

「しかし同時に、我々はいくらかの柔軟性を許容する余地がある」

「特にここ2年の新型コロナウイルスやその他もろもろの状況を考慮すると、ドライバーが獲得できる結果にも影響を及ぼしている。そして、コルトンのような人物にスーパーライセンスを与えることには、ある程度の柔軟性が必要だ。なぜなら、彼がこれまでのレースキャリアで見せてきたことを踏まえれば、彼がF1で競争できることを疑う余地はないからだ」