前戦F1ベルギーGPと異なり、上位争いが接近した今回のF1オランダGP。決勝レースでは、角田裕毅(アルファタウリ)がコース上でマシンを止めたことによりバーチャル・セーフティカーが導入され、形勢が傾きつつあったルイス・ハミルトンとジョージ・ラッセルのメルセデス勢は割を食い、一方でマックス・フェルスタッペン(レッドブル)へ有利に働いた。

 この件に関し、ソーシャルメディア上ではレッドブルとアルファタウリによる陰謀論が出回り、レッドブルでストラテジストを務めるハンナ・シュミッツには誹謗中傷が向けられた。

 きっかけとなったのは、角田が2度目のピットストップを終えてアウトラップへ出ていった際、タイヤが正常に装着されていないとチームに告げたことだった。

 角田はエンジニアからコース上に停止するよう指示を受け、その後エンジンを切ってマシンを降りる準備をするよう言われた。

 しかしチームは、データではピットストップは成功し、タイヤも正常に装着されていると確認。そのため角田はリスタートするよう指示を受け、ピットで新しいタイヤに変えることとなった。ピットでは、コース上で止まった際に緩めていたハーネスを締め直す必要もあり、長い時間を要したことから、スチュワードの注意を引くこととなった。

 角田はピットボックスを出てすぐ、依然問題が解消されておらず、マシンのディファレンシャルが関係している可能性があると報告。チーム側はピットレーンではなく安全な場所にマシンを止めるよう指示し、角田は再びコース脇にマシンを止めた。

 これによりバーチャルセーフティカー(VSC)が提示された。フェルスタッペンは少ないタイムロスで2回目のピットストップを完了。一方で、1ストップ戦略でフェルスタッペンに対抗することを考えていたハミルトンとラッセルは、そのアドバンテージを失うこととなった。

 マシンを2度止めた角田は、映像では奇妙に映った。しかし、当時のオンボード映像や無線での会話を検証すると、チームとドライバーの両方がマシンの異常原因を判定できず、異例な状況の中で精一杯対応しようと試みたという単純なケースであったと分かる。

 レース直後、FIAもこの件に関して調査を実施したが、ハーネスが緩んだままで走った角田に警告するに留まった。

 しかし、一連の流れはフェルスタッペンの母国優勝を援護するためにレッドブルとアルファタウリ両チームが画策したモノだとする陰謀論がソーシャルメディアに浮上。誹謗中傷の矛先はレッドブルのストラテジスト、シュミッツに向けられた。

 これに対してアルファタウリは9月5日(月)に声明を発表。陰謀説を否定し、シュミッツを擁護した。

 アルファタウリの声明は以下の通りだ。

「我々のチームや、レッドブル・レーシングの戦略責任者であるハンナ・シュミッツに向けられた言葉やコメントの数々を読んで、信じられないほど失望している」

「このような憎悪に満ちた行動は許されないし、卑怯な言いがかりは容認できるものではなく、真実でもない。ハンナと我々双方に対して無礼極まりないモノだ」

「我々は完全に独立し、公正かつ最高レベルの敬意とスポーツマンシップを持って競技に臨んできた」

「ユウキは(マシンに)トラブルを抱え、チームもすぐにそれを発見できず、それが原因でコース上に止まることとなった。これと異なるモノを示唆する行為は、侮辱的であり断じて間違っている」