マクラーレンのザク・ブラウンCEOは、オスカー・ピアストリを巡る契約問題が若手ドライバー育成プログラムに影響を与えることはないとの考えを示した。

 ピアストリはアルピーヌの育成プログラムからジュニアカテゴリーに参戦し、FIA F3とFIA F2で王座を獲得。来季はフェルナンド・アロンソの後任としてアルピーヌからF1デビューを果たすと発表されたものの、マクラーレンと事前契約を結んでいたピアストリはこれを否定。契約承認委員会(CBR)での係争を経て、マクラーレンからのF1デビューが決まった。

 パドック関係者からは、チームが若手ドライバーに多額の投資をしていたにも関わらず、他チームに引き抜かれた今回のケースから、将来的に育成プログラムに対する出資を控えるようになるのではないかという声もある。

 育成プログラムを持つメルセデスのトト・ウルフは、ベルギーGPの際に「ジュニアプログラムがリスペクトされることが重要だ」と指摘し、レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表も同様の意見を述べた後「忠誠心の要素が必要」だと語っている。

 しかしブラウンは、今回の一件は単にアルピーヌが契約で取りこぼし、ピアストリを”不安定な立場”に置き続けたチームの落ち度だと主張。F1チームが抱える育成プログラムが一変することはないとしている。

 育成プログラムが影響を受ける可能性についてmotorsport.comが質問すると、ブラウンは次のように答えた。

「いや、何も変わらないと思う」

「ドライバーがいて、安定しているのなら、彼らとの契約が必要だと思うだけだ」

「知っての通りとても競争が激しく、全てのチームが常に最高の人材を獲得しようと探し回っている。契約していなければ、付け入られる隙が生まれてしまう」

 また、マクラーレンのチーム代表であるアンドレアス・ザイドルは、ピアストリや彼のマネージャーであるマーク・ウェーバーに対して批判的な人は事態の全容を知らないのだと示唆した。

「実際に何が起こっているのかを詳しく知らない人たちからのコメントを読んで少し驚いたよ」

 そうザイドルは言う。

「そのコメントのいくつかは不適切で公平ではなかったと思う。何が起こっているのかをリスペクトしていなかったのだ」

「もし私がその状況にいたら……もし状況を一方的にしか知らないのなら、コメントすることは避けようと思うものだ。オスカーを守るためにも、そう言っておく必要があると思う」

 ブラウンは、ピアストリの契約によってマクラーレンF1のシートが当面埋まることにはなったものの、インディカー・シリーズからF1転向を目指すパトリシオ・オワード(アロー・マクラーレンSP)やコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート)などが行なうF1の旧型マシンテスト(TPC)には影響はないという。

「彼らはTPCのテストプログラムに全力を注いでいる」と彼は言う。

「もちろん、今年と近い将来はフリー走行1回目でルーキーを投入する必要があるし、ドライバーがCOVID-19になったり、ケガをしたりする状況も目の当たりにしてきた」

「だから、レーシングチームとしてやるべきことは、常にメインドライバーふたりとリザーブドライバーを用意しておくことだと思う」

 またブラウンは、噂通りハータがFIAからスーパーライセンスを特例で取得し、ピエール・ガスリーの後任としてアルファタウリ入りを果たせれば、マクラーレンとしても喜ばしいことだと語った。

「ドライバーを引き止めるようなことは、絶対にしたくないと我々は考えている」とブラウンは言う。

「レーシングドライバーは走りたがっている。オスカーのように1年間我慢できる人は立派だと思う。エステバン(オコン/アルピーヌ)が1年休んだのも見てきた。でも我々はレーシングドライバーがレースを走ることを応援していきたいんだ」