FIA世界耐久選手権(WEC)に参戦しているトヨタは、ホームレースとなる富士6時間レースで、チームオーダーを出してポジションを入れ替える可能性を否定していない。

 今季は全6レースで開催されているWEC。第5戦の富士を迎えた時点で、ランキングをリードしているのはアルピーヌ36号車のニコラ・ラピエール/アンドレ・ネグラオ/マシュー・バクシビエールだ。トヨタ8号車のセバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮が10ポイント差で追っている。

 ランキング3番手のトヨタ7号車、マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペスは30ポイントのビハインド。残る2レースで最大獲得ポイントが65ポイントであることを考えると、7号車のタイトル獲得はかなり難しい状況となっている。

 この状況を踏まえると、11月にバーレーンで行なわれる最終戦に向けてタイトル獲得の可能性を最大限に高めるために、富士ではトヨタがチームオーダーを出して8号車を前に出す可能性があることを示唆している。

 TOYOTA GAZOO Racing ヨーロッパのテクニカルディレクターであるパスカル・バセロンは、そのような動きがあるかと訊かれ、次のように答えた。

「事前に計画することはない。レース中に状況に応じて判断することになる」

「こうした決断、2台をスワップするかどうかは、レース中に考える」

 前戦モンツァでは、アルピーヌが今季2勝目をマーク。3位に終わった7号車のコンウェイは、自身とチームメイトにとってチャンピオンシップの状況が少し厳しいと認めている。

「バーレーンはより多くのポイントを得られるが、アルピーヌや8号車がトラブルに見舞われるなど、ちょっとした追い風が必要だ」と、コンウェイはmotorsport.comに語った。

「僕たちトヨタがドライバーズチャンピオンを確保する必要があるのなら、ある時点で(チームオーダーは)出されるだろう。現時点では何の議論もされていないが、いずれはそうなると確信している」

 ハートレーも、8号車のタイトル獲得に向けて2台のトヨタを入れ替えるかどうかは「状況次第、アルピーヌとの相対的な位置関係による」とコメントしている。


 今回の富士では、性能調整(BoP)が変更されており、アルピーヌA480は約40馬力のパワーダウン。一方、トヨタのGR010 HYBRIDとプジョー9X8は車両の最低重量が18kg削減されている。

 この結果、トヨタとアルピーヌのパフォーマンス差はかなり縮まるようにも思われるが、ハートレーはこの変更が勢力図を大きく変えることはないと考えている。

 旧規定のLMP1車両で参戦しているアルピーヌにとって、得意とするのはストレートではなくコーナーであり、富士スピードウェイのテクニカルな第2、第3セクターで、アルピーヌがタイムを稼ぐことができると考えているのだ。

「この変更は、紙の上で見るよりも少ないものだ」とハートレーはmotorsport.comに語った。

「アルピーヌはモンツァでとても速かったが、理論的には彼らにとってはそれほど良いコースではなかったはずだ」

「コースの特性から言っても、アルピーヌは富士でもっと速く走れるはずだ。ダウンフォースが大きく、重量も軽いのだから。だから、今回の変更点のほとんどは、それに対抗するためのものだと思う」

「(モンツァでは)初期加速の段階で僕たちに少しアドバンテージがあったし、トップスピードもあまり変わらなかったけど、コーナーでは彼らの方がずっと速かった。だから今回、直線でのギャップは大きくなるけど、理論的には最終セクターでは彼らのほうがずっと速いはずなんだ」