F1第16戦イタリアGPは、レース終盤にダニエル・リカルド(マクラーレン)がマシンをストップさせたことでセーフティカーが出動。レース再開は叶わず、SCランのままでフィニッシュとなった。

 再スタートが実現すれば、トップを走るマックス・フェルスタッペン(レッドブル)と2番手のシャルル・ルクレール(フェラーリ)による激しいバトルが見られると期待されたが、それは実現しなかった。そしてレース後には、ファンそして勝利したレッドブルを含め”もっと早く再開できたはず”といった批判の声が上がることになった。

 しかしメルセデスF1のトト・ウルフ代表はFIAによる決定は正しいものだと語る。彼は物議を醸す裁定が下された2021年最終戦のアブダビGPの経験が、FIAにこの判断を下す自信を与えたのだと考えている。

「コトは非常に明確だ。ルールが有り、そこに記されているんだ」と、ウルフ代表は言う。

「アブダビの一件で私がトラウマを抱えているかどうかは別として、今回これらのルールはしっかりと守られていた」

「コース上にはマシンが止まっていて、マーシャルがいて、クレーン車も出てきていた。それが、(SCランで)誰にも追い越しをさせなかった理由だ」

「そして、全てのマシンが追いついた時、リスタートさせるだけの十分な時間はなかった。だから、2周のレースや大混乱を見たいと思って、レギュレーションに満足していない人がいるなら、私も賛成しよう」

「しかしそれにはレギュレーションを変更する必要がある。これがルールである以上、起きたことに対して我々は不満を言うべきではないと思う」

「ファンやメディアからの圧力に対抗して、適切にレギュレーションを適用するレースディレクターの姿を見られて、私は本当に満足している」

「少なくとも、アブダビの一件はその意味でFIAにレギュレーションを適用する自信を与えている」



 SC解除が間に合わないとして、一部からはグリーンフラッグ下でのフィニッシュを確実にするため、レースコントロールはレッドフラッグを出すこともできたのではないかという声もある。その点をウルフ代表に尋ねると、彼はmotorsport.comに次のように答えた。

「なぜレッドフラッグを出すんだ? 誰かがウォールに突っ込んでいたり、コースを塞いでいたりしたら、それを追い越せないからレッドフラッグを出すんだ。ショーや1周や2周のレースをしたいという理由のために、レッドフラッグを出すのか?」

「それにはレギュレーションの変更が必要だし、FIAとは『レギュレーションを改定しよう。我々はレースの最終ラップで勝った者を真のトップにしたい』と話し合う必要があるだろう。そうなればならないだろう。しかし、今はレギュレーションになっていない」

 なおレース明けの12日には、各チームのスポーティングディレクターとFIAのモハメド・ベン・スレイエム会長の参加するスポーティングレギュレーションに関するミーティングが予定されている。ここで前述のようなトピックスが加わる可能性はあるが、ウルフ代表はあまり推し進めたいとは考えていないという。

「レースがアレだから、トト・ウルフがレギュレーションを変えたがっている……なんてニュースの見出しは付けられたくない。我々は卓を囲み、もっと上手くやれることが何かあるだろうかと、話し合うべきだ」

「しかし今日起きたことは、レギュレーションに記されていることだ、シケインでマシンの山ができるラストラップにしたいと? ああ、TV放送としてはいいだろうね……」

「しかし、我々としてはレースをグリーンフラッグでフィニッシュしたいのか、と問うべきだろうと思う。そこから逆算していくんだ」

「つまり、残り5周や10周でセーフティカーとなれば、レッドフラッグを出す。そして最後にレース行なえることを確実にする。それがレギュレーションになっていれば、それは良い。しかしより賢い人はたくさんいるし、スポーティングディレクター達が良いアイデアを出してくれるだろう」