ニック・デ・フリーズは、先日行なわれたイタリアGPで、虫垂炎に見舞われたアレクサンダー・アルボンの代役として、ウイリアムズから急遽F1デビューを果たし、いきなり入賞という離れ業を演じた。

 これについてメルセデスのチーム代表であるトト・ウルフは、F1デビュー戦でデ・フリーズよりも良い仕事をしたドライバーは思い付かないと、持論を展開した。

 デ・フリーズはイタリアGPの初日FP1でアストンマーチンのマシンを走らせた。その後土曜日の午前中に急遽ウイリアムズから声がかかり、虫垂炎の緊急手術を受けることになったアルボンの代役を務めることになった。

 その日の午後に行なわれた予選では、チームメイトのニコラス・ラティフィを上回る13番手となり、他車のグリッド降格ペナルティにより、8番グリッドからスタートすることになった。そして決勝でも力強い走りを披露し、9位入賞を果たしたのだ。ウイリアムズにとってこれは、今季4回目の入賞だった。

「彼はただの、素晴らしい若者だ」

 ウルフ代表はレース後にそう語った。

「彼は速いだけではない。ジュニアカテゴリーでもそれを示してきたが、彼は頭が良く、優れたチームプレイヤーでもある」

「それが、今日の彼に値する理由だ。彼が成し遂げた以上の良い仕事をやり遂げたドライバーは、他にはいないと思う」

「彼はアストンマーチンに乗り、金曜日に走行した。そして突然別のクルマに起用された。にもかかわらず、チームメイトにかなりの差をつけたんだ」

「8番手からスタートし、9位でフィニッシュした。ニキ(ラウダ)でも感心し、脱帽しただろうね」

 デ・フリーズは、メルセデスとの関係が深く、同社のフォーミュラEチームのドライバーを務めたり、F1チームのリザーブドライバーを務めてきた。しかしジョージ・ラッセルやエステバン・オコンのように、メルセデスの若手ドライバー育成プログラムと契約していたわけではない。

 そんな立場ながら、メルセデスはデ・フリーズの成長に強い関心を寄せている。

「数週間前にフォーミュラEの活動を終了させるまで、ニックはメルセデスのドライバーだった」

 ウルフ代表はデ・フリーズとの関係についてそう語った。

「そして彼は、フォーミュラEでの初の世界選手権のタイトルを、我々と共に獲得してくれた。これ以上の”メルセデスドライバー”はいない」

「しかし我々は、彼とマネジメント契約を結んでいるわけじゃない。彼のキャリアに何らかの影響を与えてきたわけではなく、彼の将来の収入の一部を手にできるわけでもない。しかし我々は、彼のことをよく知っている」

「我々は彼を非常に高く評価しているし、ニックはF1での地位を得るに値する男だと思う」

 現在メルセデスのF1マシンを走らせているルイス・ハミルトンも、イタリアGPのレース直後にパルクフェルメでデ・フリーズを祝福した。

「ニックのしたことに、信じられないような幸福を感じている。彼を本当に誇りに思うよ」

 デ・フリーズのイタリアGPでのパフォーマンスについて、ハミルトンはそう語った。

「彼はとても素晴らしい男だし、人間としても素晴らしい。そして、彼は僕らのチームの素晴らしい一員である。僕らを助け、協力してきてくれた。ニックがトップ10フィニッシュを果たしたことは、デビュー戦としては素晴らしいことだと思う」