先日行なわれたF1イタリアGPでは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが優勝。これで今季11勝目、年間最多勝記録の13勝にあと2と迫り、ドライバーズランキングでのリードも大きく拡大した。

 フェルスタッペンのライバルは、今回もフェラーリのシャルル・ルクレールだった。両者共にレース終盤にセーフティカーが出動した際にピットストップを行なったため、フェルスタッペン2ストップ、ルクレールは3ストップでレースを走り切ったが、実質的にはフェルスタッペンが1ストップ、ルクレールが2ストップの戦略を採ったレースだった。

 タイヤ交換の回数が1回多かったことが、フェルスタッペンとルクレールの勝敗を分けたという見方もあるが、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表も、フェラーリのマッティア・ビノット代表も、”レッドブルの方が速かっただけ”と語り、戦略が重要だったわけではないと語っている。

 レース中のペース推移を見ると、そのことが非常によく分かる。グラフは、イタリアGP決勝レースのレッドブル、フェラーリ、メルセデスのペースを、折線グラフにしたものである。

 ルクレールはポールポジションからスタート。つまり、クリーンエアの状態でレース序盤を走った。一方のフェルスタッペンは、パワーユニット交換によるペナルティを受けて7番グリッドからスタート。つまりフェルスタッペンは、前を行くマシンをオーバーテイクし続けるというレース序盤だったわけだ。

 しかしながらレース序盤のルクレールとフェルスタッペンのペースは互角。むしろフェルスタッペンの方が速いくらいだった。

 徐々に背後に近づいてくるフェルスタッペン……ルクレールは12周目にバーチャル・セーフティカー(VSC)が宣言された際に、たまらずピットイン。ソフトタイヤからミディアムタイヤへと交換し、隊列に復帰した。ただ今回のレース距離は53周であり、残りは40周以上。このまま走り切るのが難しいのは明らかであり、2ストップ作戦であることはこの時点では確実だった。

 ただそれ以上に、それまでのペースの方を注視するべきだろう。

 先頭を逃げたルクレールと、オーバーテイクを繰り返したフェルスタッペン……フェルスタッペンの方がペースが良いということは、普通では考えにくい。つまり相当なパフォーマンス差があったということが伺える。

 タイヤ交換をした後のルクレールのペースも、優れているとは言えない。デグラデーション(タイヤの性能劣化)が大きいはずのソフトタイヤを履いたままのフェルスタッペンのペースは衰えを見せず、ラップタイム差も0.5秒以下だった。

 結局フェルスタッペンが最初のピットストップを行なうまでに、13秒差にまでしか近付くことができなかった。

 一方でフェルスタッペンは、タイヤをミディアムに交換した後は、ルクレールよりも1周あたり0.5〜1秒程度速いペースで周回。しかもルクレールのペースは徐々に下落……ミディアムタイヤながら、デグラデーションの傾向が顕著に見て取れる。その結果ふたりの差はみるみるうちに詰まり、ルクレールが2回目のピットストップを行なう33周目の時点では約5秒差……ルクレールがタイヤ交換を終えてコースに戻った際には、その差は20秒にまで広がっていた。

 ルクレールとしてはここから差を詰めたいところだったが、ルクレールのペースはフェルスタッペンよりも0.5秒弱速いだけという状況。しかも、フェルスタッペンのペースにデグラデーションの傾向は見られない。

 ルクレールとしてはとても逆転できる要素はなく、そして終盤にセーフティカーが出動し、そのままチェッカーを迎えることになった。

 グラフを見れば、ふたりのチーム代表が語っているレッドブルとフェラーリのペース差を如実に確認することができる。また、レッドブルとフェラーリには、デグラデーションの面でも相変わらず大きな差があるということも分かる。

 レッドブルに対してデグラデーションが大きいという悩みは、今シーズンのフェラーリがずっと悩まされてきたことだった。シーズン後半になっても、その傾向は解消されていないようであり、これが今シーズンの優劣を分けた最大の要因だと言えそうだ。

 残り6戦。フェラーリが巻き返すことができるのだろうか。