F1第17戦シンガポールGPのフリー走行2回目は、タイトルコンテンダーのレッドブル2台と、シャルル・ルクレール(フェラーリ)が長い時間をピットで過ごし、セットアップ変更に時間をかけた。

 またFP2では、通常よりもロングランに時間をかけず、ショートランのパフォーマンスに集中しているチームも多かった。

 これは、今季のレギュレーション変更とセットアップの傾向が昨年までとは違っていることに起因しているようだ。

 昨年までの超ハイダウンフォース時代には、オーバーテイクが難しいことからチームは予選順位を上げるためのセットアップに集中。レースでは、後続のドライバーは前のクルマに追いつくのに精一杯で、タイヤを消耗してしまう傾向があった。

 しかし、2022年のマシンはグラウンドエフェクトを活用したマシンとなり、後方への乱気流が低減。後続のドライバーが予測不可能なオーバーステアに悩まされたり、余分なスライドでタイヤを消耗したりすることが減ったのだ。

 今季これまで、フェラーリが10回、レッドブルが5回のポールポジションを獲得しているが、レースではマックス・フェルスタッペンがフェラーリ勢をオーバーテイクするケースが多い。それはこうした要素が影響していると考えられる。

 しかし、シンガポールGPではそうした状況に変化が生じ、各チームが予選重視のアプローチに戻している可能性がある。それには、シンガポールGPの舞台であるマリーナベイ・ストリート・サーキットの特性が関係している。

 バクーのようなストリートコースはオーバーテイクを助ける長いストレートを持つが、シンガポールのマリーナベイ・ストリート・サーキットはラインが1本の中速コーナーが多く、加速ゾーンもそれほど長くない。オーバーテイクが難しいコースなのだ。

 フェラーリの今季マシン『F1-75』はレッドブルの『RB18』に比べてハイダウンフォースのサーキットで強さを発揮しており、レッドブルのセルジオ・ペレスはイベント前の記者会見でフェラーリが「ここ(シンガポール)で特に強い」とコメントしている。

 サインツJr.はこのコメントに対し、「もし僕らが競争力を持つと彼らが考えているなら、(過去5連勝している)彼らがどうなるか、そして僕らがどう考えているか想像してみてほしい」と返した。だがフェラーリは、今年のモナコGPでそうだったように、ポールポジション獲得の最有力候補だろう。

 予選重視のアプローチは、どちらかといえば予選で強さを発揮してきたフェラーリに適した戦略だと言える。同時に、レッドブルに対してレースペースで劣っているというプレッシャーも軽減されるだろう。

 サインツJr.は「特に予選では間違いなく戦えると思う」と付け加えた。

「スパやモンツァのときよりも、前に出ていればレースで勝つ可能性が高くなるコースなんだ。予選を突破して、レースで何ができるか見てみるよ」

 フェルスタッペンも同様の趣旨の発言をしており、レッドブルはシンガポールGPの予選で打倒フェラーリを第一の目標に据えている。

 同じようなコース特性を持つモナコGPでは、ポールシッターのルクレールが地元で勝利するのではないかと期待されたが、雨でそれは成し遂げられなかった。3年ぶりの開催となるシンガポールGPも、降雨の可能性が高い予報となっているため、それもチームの頭を悩ませる要素となるかもしれない。

 フェルスタッペンは、「僕らのクルマは、モナコでやったことよりも、もう少し適しているかもしれないと思っている」と語った。

「僕たちは本当に1周に集中する必要がある。今年、僕たちが1ラップのアタックで本当にすごいと思ったことはなかったと思う。レースではいつも良い感じだった。でもここでは、1周のパフォーマンスが本当に重要だとわかっているんだ」

 レッドブルは、予選で最高のポテンシャルを発揮するために、ロングランのペースを犠牲にすることを考えているのかと尋ねられると、フェルスタッペンは次のように答えた。

「うん、つまりレースよりも1周(のパフォーマンス)をより重視したセットアップをするのは確かだよ」

「それだと、ほとんどのサーキットではレースで少し苦労することになる。ここでは、それが避けられるかもしれない」

 FP3は、雨の影響で30分しか走行が出来ない中で、ルクレールが首位、フェルスタッペンが2番手となった。予選のコンディションは不透明。どちらがより適したセットアップのマシンを用意できたかで、シンガポールGPの結果は大きく左右されそうだ。