FIAは今後、F1のレース中にオレンジボール旗(オレンジ色の円形のある黒旗)を掲出する頻度を減らすことを検討していることがわかった。

 オレンジボール旗は、走行中のマシンがダメージを受け、走行を続けることが危険だと判断された場合に、ピットインし修理を命じるために掲出されるものだ。この旗が提示されたドライバーは、その周の終わりにピットに入り、マシンを修理しなければならない。

 先日のアメリカGPでは、ハースがセルジオ・ペレス(レッドブル)とフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)がダメージを負ったまま走行を続けたとして抗議。その後論争の的となった。

 ハースのケビン・マグヌッセンは今季、カナダ、ハンガリー、シンガポールの3レースでオレンジボール旗を提示され、緊急ピットインを余儀なくされた。しかしハースはこれに激怒。オレンジボール旗が提示される基準が他チームとは異なっていると感じていた。

 そのためハースは、フロントウイングの翼端板に損傷を負ったまま走行したペレスと、右側のリヤビューミラーを脱落させたアロンソにも、同様にオレンジボール旗が振られるべきだと主張したのだった。

 ペレスに対する抗議は、レッドブルが写真を提出し、翼端板が外れても危険な動きをしていなかったと主張。レーススチュワードはそれを受け入れ、ペレスにはペナルティを科さなかった。

 一方アロンソに対する抗議は、ハースの主張が認められ、レース後に30秒加算のペナルティが科された。これにより7番手でフィニッシュしていたアロンソは、入賞を逃すことになった。

 しかしこれについてはアルピーヌが抗議。メキシコGPの木曜日にアロンソへのペナルティが正式に取り消され、アメリカGPの7位が認められることになった。

 このアロンソへのペナルティが取り消されたことを発表する文書の中で、FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長は、オレンジボール旗の使用について、将来に向けて見直すことを検討し始めたことを明らかにした。

 motorsport.comの取材によれば、これはF1チーム全会一致で賛同されたものであるようだ。

 FIAの国際競技規則には、オレンジボール旗の使用に関しては次のように規定されている。

「該当するドライバーに対し車両に機械的欠陥があり、そのドライバー自身あるいは他のドライバーが危険に瀕しており、当該ドライバーは次の周回時に自己のピットに停止しなければならない」

「技術委員長が承認できる程度まで機械的欠陥が修理された場合は、当該車両は決勝レースに復帰できる」

 このオレンジボール旗の使用に関しては、メキシコシティGPのフリー走行1回目に先立ち、F1チームマネージャーによるミーティングで議論された。

 この議論は、今後のイベントで当該の旗をどのように使用するかということに関するもの。しかし各F1チームは、パーツが損傷しても突然破損しないことを証明するために非常に多くのデータを持っており、安全上の問題になることはないと確認することができるため、今後はFIAが自動的に警告を発する傾向が少なくなる可能性があるようだ。

 この方針が固まれば、F1は国際競技規則の対象となる他のカテゴリーとは異なる運用となる。国際競技規則では、マシンの損傷に気付かずに走っているドライバーの安全を確保するためピットインさせる責任は、レースオフィシャルにあると定められているからだ。

 ただこの方針を採ることになっても、F1のレギュレーションを変更することは検討されていないという。その代わりに、マシンが安全に走っていることを確実にするのはチームの責任になるという。そして明らかに損傷があると認められる場合には、直ちに調査が行なわれる。

 ただこの解決策の問題点は、損傷したマシンが安全かどうかについて、意見の相違が生じる場合があるということだ。これは立場によっても異なってくる。例えば、当該のチームはレギュレーションのギリギリの部分で、安全だと主張しようとするだろう。しかしライバルチームは、自らのチームの競争力を得るために、安全性に疑問を呈することもあるだろう。