モビリティリゾートもてぎで行なわれたスーパーGT第8戦(最終戦)。ポールポジションを獲得したのは100号車STANLEY NSX-GTで、ホンダ陣営は5台中4台をQ2に送り込むなど、得意のもてぎで躍動した。

 例年以上に戦力が拮抗しているGT500において、特定のメーカーが上位を独占することは容易ではない。今回のNSX陣営も4台がQ2に進んだとはいえ、チーム毎にタイヤ選択や温度変化への対応などに差が出たためリザルトにはばらつきが出たが、逆を返せばもてぎでのポテンシャル自体は全車高いという手応えがあるようだ。

 HRC(ホンダ・レーシング)のスーパーGTラージ・プロジェクトリーダー(LPL)である佐伯昌浩は次のように語った。

「今回は路面温度の変化、選択したタイヤの関係もあり、ウォームアップに苦戦した車がありました。ポールを獲得できたのは我々のクルマのポテンシャルの高さでもあるとは思いますが、判断が難しかったと思います」

「明日はトップ10から5台がスタートできるので、路面温度やタイヤ選択次第では、ポールから優勝、そしてチャンピオン獲得の可能性も高いと思っています」

 また車体開発を率いる往西友宏も「今回そこまでのタイムを刻めなかったクルマも(100号車と)同じようなポテンシャルはあると思うので、修正して力強いレースができるように頑張ります」として、NSXのポテンシャルの高さを示唆する。

 そもそも、もてぎに強いマシンとは一体どんな特徴のあるマシンなのか? その質問に往西はこう答えた。

「もてぎはフルブレーキングする場所が多いので、安定したブレーキングが必要です。あとはタイトコーナーでの回頭性、そしてフルブレーキングとフルブレーキングの間はストレートで囲まれていることが多いので、ストレートスピードですね。その辺をバランスとりながら取り組んでいます」

「特にレースではストレートスピードがあれば抜きづらいので、ブレーキの安定性と直線スピードのバランスをとりながらですかね」

 ではそれらの要素の中で、もてぎと相性の良いNSX-GTが秀でているのはどの部分なのか? 往西は次のように語る。

「ブレーキングに関しては特に重要視しています。そこがアドバンテージになっているのかなと思います」

「逆を返せば、ストレートスピードで凌駕することはできていないので、ストレートで迫られても奥までしっかりブレーキを踏めるようなクルマにして、勝負しようとしています」

「そのためにはダウンフォースももちろん必要ですし、ブレーキング中に欲しいダウンフォースを綺麗に出すことも重要です。(車高や足回りなどの)セッティングがしやすい特性になるように開発して、あとは各チームがセッティングで調整する形になります」

 一方、ホンダ陣営とは対照的にもてぎの予選で苦戦を強いられたのがトヨタ・GRスープラ。彼らは6台体制を敷いているが、その内Q2に進めたのはヨコハマタイヤを履く19号車WedsSport ADVAN GR Supraだけで、ブリヂストンユーザーの5台はQ1落ちに終わった。

 今季は最低でも3台をQ2に送り込んできたトヨタ陣営だったが、グリッド下位を占める苦しい予選に終わった。今回と同じくノーウエイトで行なわれ、6台中5台がQ2に進出した開幕戦岡山とは対照的な結果であった。

 予選14番手に終わった37号車KeePer TOM'S GR Supraの宮田莉朋は次のように語る。

「今回はダウンフォースもグリップもメカニカルなセットアップも良くありませんでした。タイヤ選択に失敗してタイヤを機能させられず、多くのスープラがQ1落ちに終わってしまいました」

「テストの段階から、日産やホンダほどのパフォーマンスはありませんでした。セットアップやタイヤチョイスについてあれこれ考えましたが、思うような改善はできず、悔しい1日になりました。でも明日のレースは諦めずに勝ちにいきたいです」

 宮田はまた、スープラはエンジンパワーとダウンフォースの両面で改善が必要だと語り、来季に向けても不安な部分があると語る。

「僕はいつも、トヨタにエンジンとカーバランスの改善が必要だと言っています。日産はパワーとダウンフォースの両方があるので、もっと楽に勝つことができています」

「(来季も)レギュレーションが同じなのは心配です。エンジンは改良できますが、どうやってパワーを上げればいいのか……ダウンフォースの改善も必要ですが、その方法も分かっていません」

 最終戦の決勝レースを前にした段階で、トヨタ陣営は37号車の宮田とサッシャ・フェネストラズのみがタイトルの可能性を残している。しかしトップとは20点差がついており、14番グリッドからの優勝が絶対条件と、厳しい状況に置かれている。