スーパーGT第7戦オートポリスで勝利を飾り、最終ラウンドである第8戦もてぎでは自力でのタイトル獲得の可能性を残している17号車Astemo NSX-GTの塚越広大、松下信治組。実は彼らは決勝レースのFCY(フルコースイエロー)中に追い越しをしていたが、発覚が遅れたこともあり罰則などが科されることはなかった。

 スーパーGTの公式YouTubeチャンネルに公開された第7戦での17号車のフルオンボード映像には、その瞬間が捉えられていた。

 松下のドライブで4番手を走っていた17号車が17周目に突入した直後、5号車マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号が1コーナーでコースオフしたことにより、FCYが宣言された。車両のディスプレイには、80km/hの速度制限に向けて10秒のカウントダウンが表示されたが、1コーナーを立ち上がった松下はカウントダウン中に前を走る19号車WedsSport ADVAN GR Supraと共にGT300車両を追い越してしまった。

 スーパーGTのレギュレーションでは、FCYが宣言された後は例え80km/h制限に入る前でも追い越しは禁止されているが、この一件が発覚したのはレースが終了して正式結果が出された後であり、抗議等も出ていなかったことから17号車には罰則が科されることはなかった。

 ただ、SUGO戦で黄旗区間での追い越しをした36号車au TOM'S GR Supraには40秒のタイム加算ペナルティの裁定が下ったことを考えると、本来であれば17号車にも同等のペナルティが科された可能性が高い。仮にレース後の17号車と19号車のタイムに40秒が加算されたとすれば、17号車は8位まで転落することになり、そもそも最終戦を前にタイトル戦線から脱落したはずだ。

 FCY中の追い越し違反が見落とされるというケースはなぜ起きてしまったのか? それについてスーパーGTをプロモートするGTアソシエイション(GTA)は、第8戦もてぎの決勝日に行なわれた定例会見の中で説明を行なった。

 GTAによると、FCYの運用については全車統一の監視システムを導入しており、FCY中に追い越しをした場合はアラームが作動するようになっているが、このシステムは本来2クラスの混走を想定していたものではなかったため、GT500車両とGT300車両での追い越しに関しては機能性が不十分なところがあったという。そのため再発防止策として、もてぎ戦に向けてはシステムを変更したようだ。

 また、関係者の中にはカウントダウン中の追い越しは違反ではないと解釈している者が多かった可能性があるため、もてぎ戦前のブリーフィングでは服部尚貴レースディレクターからその辺りの周知が行なわれたという。

 GTAの坂東正明代表は、FCYのシステムはあくまでオフィシャルが振る旗の補助をするものであるため、基本的にはオフィシャルが出す旗やボードをしっかり認識して欲しいと呼びかけ。「(FCYは)方向性としては良い方向に行っている」としつつ、ハード面での改善に向けてはもっと努力が必要だと述べた。