全22戦で争われる2022年シーズンのF1もいよいよ佳境を迎えているが、来シーズンはさらに2戦多い24戦が開催される予定となっている。これは歴代最多の開催数を更新するもので、誰にとっても未知の領域となる。

 このかつてないレース数の一因となっているのが、中近東とアメリカでの開催数増加だ。

 昨年はサウジアラビアGPとカタールGPが初開催され、いずれも2023年以降のグランプリカレンダーに定着。2016年からアゼルバイジャンのバクーでのレースがカレンダーに追加されたことも記憶に新しい。

 そしてNetflixのドキュメンタリー番組放映の効果もあり、F1人気が爆発的に高まっていると言われるアメリカでは、サーキット・オブ・ジ・アメリカズのアメリカGPに加えて、今年マイアミGPが初開催された。さらに来季はラスベガスGPも初開催されることになっており、アメリカで実に3レースが行なわれることになる。

 F1のステファノ・ドメニカリCEOは、年間24戦は確かに多いと認めながらも、様々な事象を考慮すれば理想的な数であると述べた。

「来年からF1グランプリの数が24戦になる。確かに非常に多い数だが、これはビジネスの面から必要とされた数といえる」

「現在、F1グランプリを開催したいという国は非常に多く、彼らの希望を叶えようと思うと24戦どころではない。しかし、バランスを考えると24戦以上には増やしたくない。レースの価値を保ち、世界地図の上でバランスをとろうとすれば、24戦が理想的な数だと考える」

「ここから先は、数を増やすのではなく、質を上げていく努力をしなければいけないと考えている。その中でアメリカは3戦の開催になる。一国で3戦はどうかという声もあるが、アメリカでのF1グランプリの人気は信じられないほど高い。昨年のオースティンは40万人の観客が来た。何年か前のアメリカからはとても信じられない。来年はラスベガスが加わり、より賑やかになる」

 アメリカや中近東でのレースが増えることで、モナコやスパといった伝統的な開催地でのレースが消滅してしまうのではないかという声も根強いが、ドメニカリCEOはそういった格式あるレースは残していきたいと明言した。

「新しいグランプリが増えても、歴史のあるレースは残していくつもりだ」

「モナコやベルギーがカレンダーから消えるという噂が立ったが、我々はそんなことは考えていない。伝統的なイベントは歴史を学ぶ上でなくてはならないもので、その歴史の上に立って新しいレースが意味を持つ。新しいレースも必要で、新しい空気がF1グランプリを生き返らせることも知っているが、それらは歴史の上に立って初めて可能になることだ」

 年間24戦を「理想的な数」と表現したドメニカリCEOだが、F1関係者の中には近年のレース数増加を歓迎していない者も少なくない。ハースでエンジニアリングディレクターを務める小松礼雄は、日本の報道陣向けのメディアセッションで来季の開催数に関する意見を求められ、次のように答えた。

「厳しいですよ。僕たちは交代要員も少ないです。(現地に赴くスタッフの)誰かが病気になったり怪我をした場合に(ファクトリーから)交代要員を出しますけど、そうなるとファクトリーに開く穴が大きいです。ギリギリのところでやっているので、もう少しマージンを作らないと24戦は戦えないですね」

「僕の立場でこういうことを言っていいのか分かりませんが……皆さん24戦も見たいですか? トリプルヘッダーを見たいですか? 個人的には18戦くらいでいいと思います。なんでそんなにやるのか分からないし、働いている人のことも考えてもらいたいですね」

「ちゃんとした仕事ができるのは、家庭など私生活の基盤がしっかりとあって、みんなハッピーだからこそ。そうやってはじめて仕事でも最大限の力を出せる訳です。それなのに、ここまで大変なことにして……働いている人のことも考えないと、いくら興行とはいっても成り立たないと思います」