先日行なわれたF1メキシコシティGPでは、メルセデスが上位争いを展開。フェラーリを大きく置き去りにし、確実に2番手チームの座を手中に収めた感がある。

 しかしメルセデスの戦略ディレクターであるジェームス・ボウルズは、メキシコシティGPのような状況は一過性のモノであり、次戦ブラジルGPではより厳しい状況になるだろうと考えている。

 メキシコシティGPの舞台となったエルマノス・ロドリゲス・サーキットは、標高2200m以上という高地に位置するため、フェラーリはパワーユニットのパフォーマンスを完全に発揮することができなかった。

 その隙を突いてメルセデスは相対的なパフォーマンスを上げた。今季のメルセデスのマシンW13は、空気抵抗の大きいマシンとして知られている。しかしメキシコでは標高が高いことで空気密度が減りW13の空気抵抗が減少、弱点が軽減されたのだ。

 またボウルズによれば、アメリカGPで導入され、メキシコGPでフロントウイングを投入したことで完成した最新のアップデートパッケージも、有益な後押しになったという。

「いくつかの要因があったと思う」

 ボウルズはメルセデスが公開したレース結果を報告する動画でそう語った。

「ひとつ目はオースティンで投入したアップデートキットだ。それが我々を前進させることになった。その証拠は、実際にメキシコでも確認できた」

「ふたつ目は、他のチームが最大のダウンフォース量で走り、我々も最大のダウンフォースで走る時には、非常に優れているということだ。例えばブダペストでも、ザントフールトでも、それは明らかだった。メキシコも、それは例外ではなかった」

「メキシコでは、どのチームもリヤウイングを最大のモノにし、最大のダウンフォースを使っていた」

「またオースティンでは、非常にトリッキーで風も強いコンディションだった。だからおそらく、アップデートされたパフォーマンスを完全に確認することができなかったことを意味していたと思う。一方でメキシコではそれほど風が強くなかった。今、我々はバランスが取れているように見えるマシンを手にしている。そして、うまく機能しているんだ」

「ただ、次の2戦では、どんなパフォーマンスを発揮できるかはわかりにくい。メキシコでは明らかに、フェラーリが後退したように見えたが、我々が前身したように見えたということには、疑いを持って見ている」

 次のブラジルGPは、比較的標高は高いとはいえ、メキシコほどではない。アブダビは海抜ゼロだ。そういう意味でも、残り2戦でどんな勢力図になるのかを予想するのは難しいと語る。

「コースによって大きく異なると思う」

 そうボウルズは語った。

「メキシコのように、フェラーリが我々から大きく離れるようなことはないと思う。ブラジルとアブダビでは、我々に接近するはずだ。2チームの間で、大接戦になるだろう」

「レッドブルは、我々と比較して優位に立っている。彼らが予選で我々に対して0.3秒もの差をつけたのは、大変な差だとは思わない。でも今後数レースでは、コンマ数秒になるだろう」

 ボウルズ曰く、シーズンが進むにつれてポジティブな傾向が表れていると語った。

「シーズン序盤は、Q1を通過しても、Q3に行くのに苦労することがあった。それと比べると、上位にどんどん近づいてる。勝利まであと少しだ。我々は前進することができた」

「ブラジルは、我々のふたりのドライバーがこれまでうまく戦ってきたコースである。そして多くのポイントを獲得できるスプリントレースもある。そしてライバルのコンマ数秒以内を走れるマシンがあれば、目標を実現することができる」

 とはいえメルセデスは、ブラジルでレッドブルとフェラーリの後塵を拝する可能性が高いことも認めた。

「イベントに挑む前に判断するのは本当に難しい。しかし、(メキシコと)同じレベルの競争力を享受できるとは思わない。大きな違いがあるとは思わないが、僅かに後退する可能性もある。フェラーリは間違いなく、メキシコの時よりも近付いてくるだろう」

「ブラジルも通常よりは標高が高い。海抜は700mくらいだと思う。またそれと同様に、コースのレイアウトや各チームのダウンフォースレベルがどのようなモノになるのかということによっても左右される」

「先ほども申し上げたように、我々はハイダウンフォースのサーキットで本当にうまく機能している。しかしそれは、我々がブラジルでやろうとしていることではない」

 チーム代表のトト・ウルフは、ランキング2位を目指すよりも1勝が欲しいと語ったが、ボウルズはそれでもランキング2位を獲りに行きたいと語った。

「我々の目標が何であるかは、非常に明確だ」

 そうボウルズは言う。

「我々はチャンピオンシップ2位になるためにここにいる。ポイント差を縮めることができたレースは、全て成功だ」

「メキシコでは、13ポイントしか縮めることができなかった。残り2レースで40ポイント差もある。しかし幸いにもそのうちの1戦では、スプリントレースが行なわれる。シーズン序盤や中盤とは異なり、我々には良いパッケージがあると思う。だから彼らに戦いを挑むことができると思っている」

「しかし40ポイント差を埋めるのは途方もない仕事だ。全てのことを完璧に、正しく行ない、フェラーリが我々に2位獲得のためのチャンスを与えてくれる必要がある」

「とにかく今言えることは、アブダビでのチェッカーフラッグまで、諦めないということだ」