スペインのリカルド・トルモ・サーキットでMotoGP2022年シーズン最終戦のバレンシアGPが開催された。今年最後のレースで優勝したのは、スズキのアレックス・リンスだった。

 タイトル争いは最終戦までもつれ込んだが、フランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)が圧倒的優位で臨んでいるバレンシアGP。週末を通じて天候に恵まれ、決勝レースは気温28℃、路面温度32℃のコンディションで開始時刻を迎えた。

 予選でポールポジションを獲得したのはホルヘ・マルティン(プラマック)。2番手にはマルク・マルケス(レプソル・ホンダ)、3番手にはジャック・ミラー(ドゥカティ)が並んだ。

 ランキング2番手で逆転タイトル獲得のためには優勝を狙うしかないファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)は4番手スタート。バニャイヤは8番手スタートだ。

 全27周の決勝レースが始まると、5番グリッドのアレックス・リンスが抜群の蹴り出しを見せて先頭を奪取。1周目を終えた時点で2番手以下はマルティン、マルケス、クアルタラロというオーダーだった。

 クアルタラロはホームストレートでミラーに追い抜きを許してしまうと、続けざまにバニャイヤにも追い抜かれてしまう。その際クアルタラロとバニャイヤは軽く接触し、バニャイヤのマシンからはマシン側面のエアロパーツが一部脱落してしまった。

 先頭集団はリンス、マルティン、マルケス、ミラーの4台。そして5番手をクアルタラロとバニャイヤが争っている状態だった。

 クアルタラロは一度はバニャイヤに追い抜きを許したが、間を開けずにポジションを奪い返すとその後は突き放して5番手を単独走行した。

 リンスが率いるトップ4台の集団では、レース3分の1となる9周を前にミラーが3番手に浮上。表彰台圏外にはじき出されたマルケスは、その後10周目に転倒でレースを終えた。

 トップを走るリンスを追うマルティンとミラーは互いにコンマ数秒のギャップを維持して走行を続けていた。しかしわずかにペースに優れるリンスが後半に向けて少しずつ差を広げ始め、残り10周で約1秒までギャップを拡大。勝利にむけて、地盤を固めていった。

 なお同じ頃に優勝を追い求めるクアルタラロ、そしてブラッド・ビンダー(KTM)はペース良く先頭集団に接近し始めていたが、18周目にはビンダーがクアルタラロを抜いて4番手に浮上した。

 先頭集団ではレースも最終盤となった23周目にミラーが転倒。来季はKTMへ移籍するため今回がドゥカティでの最後のレースだったが、好結果を持ち帰ることはできなかった。

 リンスはスタートで先頭を奪ってから最終ラップまでその座を譲らず、逃げ切ってトップチェッカー。今シーズン限りでMotoGPを撤退するスズキに、リンスが最後の勝利をもたらした。

 2位は終盤にポジションを上げたビンダー。3位はマルティンだった。

 クアルタラロは最後までプッシュし続けたものの、優勝には手が届かず4位でのフィニッシュ。MotoGP連覇は果たせなかった。

 バニャイヤは、レースを通じてジリジリとポジションを落としたものの9位でフィニッシュ。師匠”バレンティーノ・ロッシ”が成し遂げられなかったドゥカティでのチャンピオン獲得を成し遂げた。

 初チャンピオンとなったバニャイヤの元には、そのロッシも祝福に訪れ、ドゥカティのスタッフ陣もついに獲得した王座に感極まった様子だった。なおドゥカティは今シーズンのライダー、チーム、コンストラクターのタイトル三冠を達成している。

 ドゥカティのライダーがチャンピオンを獲得するのは、2007年のケーシー・ストーナー以来ふたり目。そしてイタリア人&イタリアメーカーの組み合わせによるタイトルは、MVアグスタ&ジャコモ・アゴスチーニ以来50年ぶりの快挙だ。

 今季は初優勝を達成し、アレイシ・エスパルガロがチャンピオン争いにも絡んだアプリリアだが、最終戦はエスパルガロとマーベリック・ビニャーレス両名が途中リタイア。来季に向けて課題が残るレースとなった。

 3戦ぶりの復帰戦となった日本人ライダーの中上貴晶(LCRホンダ)は、最終的に14位でフィニッシュ。負傷した右手の状態はまだ完全ではないものの、ポイントを持ち帰った。今季の年間ランキングは18位だ。