今季限りでのF1引退を発表しているアストンマーチンのセバスチャン・ベッテル。グリッドを去るまで、残すところサンパウロGPとアブダビGPの2戦となっている。

 ただ、引退が迫る中でも「落ち着いた気持ち」でいるとベッテルは語っており、順位が絶対的な重要性を持つ訳ではないとの考えを示した。

「僕の考えはこうだ。この決断を下す前に色々なことを考えたけど、良いレースをすることが重要なのか……客観視すると思うことは沢山ある」

 motorsport.comの取材に対してベッテルはそう答え、快く勇退できるかどうかは自分自身が満足できるかどうか次第だと語った。

「もちろん外から見てみると、最後のレースで勝つこと、タイトルもう一回を獲得すること……というかタイトルを獲得して引退する方が、ずっと良いと思うだろう」

「でも考えれば考えるほど、本当に大切なのは自分自身だと思えてくる。もちろん、(レース勝利など)そうなれば美談になるし、良い引退になるとも言える。でも、それなら誰が引退に対応するんだろうか?」

「失礼な話かもしれないし、みんなや一般の意見じゃないかもしれない。ある意味自分だけだ。依怙贔屓でもない。ただ、僕はそう思っているんだ」

「だから、僕は落ち着いて過ごしている。最後のレースが、これまでいくつものレースをこなしてきた中でのハイライトになることはあまりないと分かっている。それほど重要じゃないんだ」

 今季、アストンマーチンはシーズン序盤から思うようにパフォーマンスが上がらなかったものの、ベッテルはシーズン後半の日本GPとアメリカGPでは最終ラップバトルを演じ、かつてのような強さを感じさせる走りでファンを魅了した。

「もちろん、素晴らしいレースだった」

 そうベッテルは振り返る。

「メキシコのような遅すぎて後退してしまうようなレースよりも、ずっと楽しめたよ。それは当然だ」

「でも全体的に見ると、後退ではなく前進できたレースを沢山重ねられたことはラッキーだったと思う」

 またベッテルは、自身のキャリアの総括を求められると、評価を下すのは時期尚早だと答えた。

「まだ振り返ってもいないんだ。だから、それは10年後の質問と言えるかもね」

「でも、そうだね……僕はとても満足している。もちろん、僕には色々なハイライトがあるし、素晴らしいレースも沢山あった。素晴らしい人たちに会い、一緒に仕事をすることもできたんだ」

「もちろん、素晴らしいとは言えない瞬間もあったけど、それらのおかげで今の僕があるんだと思う」

「だから、何も後悔はないんだ。僕はとても良い時間を過ごしてきたと思う。それが結論。特権的だったと思う」

「そして、学んだこと、経験してきたこと、応援、その全てが次の”章”のブーストになれば良いなと思う」

 またセンチメンタルな気持ちにはなっていないかと訊かれると、次のようにベッテルは答えた。

「(最終戦が開催される)来週はどうなってるか、分からないよ。その時に自分が思い出に浸っているように見えるかは分からないね!」

「でも僕はレースが楽しみだ。時には次のことを考えすぎて、今を楽しめないこともあった。ただ、振り返ることはほとんどない。なぜこんなに遅かったのか、何が足りなかったのか、などといったこと以外はね」