F1第21戦サンパウロGPの予選は、天候に翻弄された波乱の展開となり、ハースのケビン・マグヌッセンが初ポールポジションを獲得した。

 スプリントフォーマットで開催される今回のサンパウロGP。FP1はドライコンディションで行なわれたものの、予選開始前までにインテルラゴス上・サーキット空を雨雲が通過。路面はウエットコンディションとなった。

 気温は19℃、路面温度は27℃。雨はほぼ止んでいるというコンディションで現地時間16時から18分間のQ1がスタートすると、ピットレーンで列をなしていたインターミディエイトタイヤを履くマシンたちがコースに一斉に出ていった。

 サーキット北西の方から大きな雨雲がサーキットに接近する中、路面がかなり乾いているポイントもある難しいコンディションで各車がアタック。雨が降り出す前にタイムを出そうと、走行を続けた。

 路面コンディションの改善やドライバーがコンディションへの理解を深めるにつれて、タイムシートは目まぐるしく塗り替わっていく。フェラーリ勢がトップタイムを記録すれば、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がそれを更新。一方でコースインのタイミングを遅らせていたフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)が一発で1分18秒412をマークするなど、どんな結果になるか分からない状態が最後まで続いた。

 アルファタウリのピエール・ガスリーは、8分以上を残していち早くソフトタイヤを装着。これを見て、他のマシンも続々とピットインしていった。ガスリーのチームメイトである角田裕毅は、2セット目にもインターミディエイトタイヤを選択。5番手までポジションを上げてセッション終盤へと入っていった。

 ガスリーがタイムを上げてきたのは、ソフトタイヤでの3周目。一気に1分17秒626を叩き出してトップに立った。これには上位陣もたまらずソフトタイヤへスイッチ。タイヤの準備が遅いクルーを、シャルル・ルクレール(フェラーリ)が無線で一喝するシーンもあった。

 ソフトタイヤのスイッチが入ったマシンが続々とトップタイムをマーク。セッション残り時間がゼロとなった時点で、ウイリアムズのアレクサンダー・アルボンがトップという波乱の展開だ。

 最終的に、Q1トップ通過はランド・ノリス(マクラーレン)。ルイス・ハミルトン(メルセデス)が2番手につけた。

 波乱の展開で涙をのんだのは、16番手ラティフィ以下、周冠宇、バルテリ・ボッタス(共にアルファロメオ)、角田、ミック・シューマッハー(ハース)。ラティフィ以外はソフトタイヤで4周しか走れなかったマシン4台であり、判断の遅れが響いた形となった。

 同じくソフト投入が遅れたフェラーリの2台も、ルクレールが12番手、カルロス・サインツJr.が14番手と危うくQ1敗退を喫するところだった。

 15分間のQ2が開始されると、雨に降られてはたまらぬと各車続々とソフトタイヤでコースイン。フェルスタッペンやノリスといったドライバーは、ドライコンディションだったFP1よりも速いタイムをマークしていった。

 各車が最初のアタックを終え、2度目のアタックに向かおうとするタイミングで、雨粒が落ちてきたという無線が入り始める。そんな中、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)がトップタイムを更新。その直後、他車のスリップストリームを活用してフェルスタッペンがそれを上回った。

 メルセデス勢、アストンマーチン勢はピットに入ってソフトタイヤを交換するというリスキーな判断を下したが、その間にもサーキット上空は暗くなっていった。

 徐々にコンディションが悪化していくなか、メルセデスはラッセルが3番手、ハミルトンが4番手に浮上した。その後もなんとかタイムアップが可能なコンディションが保たれ、他のマシンも2セット目のソフトタイヤ投入。フェルスタッペンは1分10秒881までタイムを上げた。

 最後まで全15台がコース上でアタックを続けた結果、トップはフェルスタッペン。11番手アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)、ガスリー、セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)、ダニエル・リカルド(マクラーレン)、ランス・ストロール(アストンマーチン)がここで予選を終えた。

 ソフトタイヤで1回アタックできるのか、それとも先に雨が降ってきてしまうのかというような空模様で、12分間のQ3がスタート。各車ソフトタイヤを履き、我先にとピットレーンに並んだが、その中で唯一インターミディエイトタイヤを履いたのがルクレールだった。

 しかし各車がアタックに入っても空が泣き出すようなことはなく、フェラーリの選択は大失敗。ルクレールへのピットイン指示も遅れ、ルクレールは無駄にもう1周することになってしまった。結局、ルクレールはアタックを完了することなくピットに戻った。

 ルクレールがソフトタイヤに履き替えてコースに戻った直後、ジョージ・ラッセル(メルセデス)がターン4でコースオフ。グラベルにハマり、セッションは赤旗中断となってしまうと、その間に無情にも雨が降り出した。

 この時点で、トップに立っていたのはなんとマグヌッセン。最初のアタックでフェルスタッペンよりも0.203秒速いタイムを叩き出していた。

 8分ほどの中断の後にセッションは再開されたが、すでにタイムアップは難しいほど雨は強くなっており、コースインしたのは1分15秒台のタイムしか出せていなかったセルジオ・ペレス(レッドブル)、コンディションを確かめたハミルトンのみ。ノータイムのルクレールは、あがくことなくマシンを降りてしまった。

 そのまま予選は終了。マグヌッセンがキャリア初ポールポジションを獲得、チームにとっても初ポールとあって、ハースは沸きに沸いた。

 2番手はフェルスタッペン。赤旗の原因となったラッセルが3番手となった。4番手ノリス以下、サインツJr.、エステバン・オコン(アルピーヌ)、アロンソ、ペレス、ルクレールというオーダー。まさに大波乱の予選結果となった。