F1第21戦サンパウロGPの決勝レースは、メルセデスが完璧なワンツーフィニッシュを達成。ジョージ・ラッセルが初優勝を挙げた。

 舞台はブラジル・サンパウロのインテルラゴス・サーキット。スプリント・フォーマットでの開催となる今回、金曜日は天候が不安定だったものの、日曜日は快晴に恵まれ気温23度、路面温度は50度……路面温度35度ほどだったスプリントレースとは大きく異なるコンディションとなった。

 前日のスプリントでは、メルセデスのジョージ・ラッセルがミディアムタイヤに苦しむ王者マックス・フェルスタッペン(レッドブル)を攻略しトップチェッカー。ルイス・ハミルトンも好結果を残し、メルセデスが決勝のフロントロウを独占。決勝レースで、今季初優勝を狙った。

 スプリントでは苦しんだフェルスタッペンが3番手、セルジオ・ペレスも4番手とレッドブルがグリッド2列目に並んだ。なお、アルファタウリの角田裕毅は、決勝レースを15番グリッドからスタートする予定だったが、グリップ不足に苦しんでいたこともあって、マシンのセットアップを変更しピットレーンからのスタートを選択した。

 スプリントレースの行方を左右しただけに注目されたスタートタイヤ選択だが、トップ4台はソフトタイヤを選択。5番手シャルル・ルクレールや7番手カルロス・サインツJr.のフェラーリ勢、角田など計8台がミディアムを履いた他、19番手のアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)はハードタイヤを履いた。

 71周のレースは、ラッセルが好スタート。トップ4台のオーダーは変わらず、5番手にランド・ノリス(マクラーレン)がつけた。しかし、すぐさまセーフティカー(SC)が出動する事態となった。

 ケビン・マグヌッセン(ハース)にダニエル・リカルド(マクラーレン)がターン10で追突。スピンしたマグヌッセンとリカルドは再度接触し、2台がリタイアを喫したのだ。予選の主役だったマグヌッセンは、不本意な形で週末を終えることになった。

 7周目のリスタートでは、ラッセルがギリギリまで加速を遅らせ首位をキープ。そのすぐ後ろでは、フェルスタッペンがアウト側からハミルトンに襲いかかったが、ターン2のエイペックスで2台が接触。さらにはルクレールもノリスと接触し、クラッシュを喫した。これらの接触では、フェルスタッペンとノリスにそれぞれ5秒のタイム加算ペナルティが科された。

 ハミルトンは8番手でレースを続けたが、フロントウイングにダメージを抱えたフェルスタッペンと、何とか走行を再開したルクレールは緊急ピットインし、最後方までポジションを下げた。

 いきなり上位陣に波乱が続いたが、首位ラッセルにはペレスが2秒以内の差で追走。ノリスを抜いたサインツJr.が3番手につけるも、この2台からジリジリと離されていく。ハミルトンは手負いながらも少しずつポジションを回復。15周目にはノリスまでを交わし、4番手につけた。

 この頃から、ソフトタイヤでスタートしたマシンのピットストップが始まっていくが、ミディアムタイヤを履いていたサインツJr.は17周終わりでピットイン。ソフトタイヤに履き替えたが、これはブレーキダクトに捨てバイザーが詰まったことが原因のピットストップだったようだ。

 ラッセルはペース良くリードを広げていき、23周終わりでペレスがピットインするまでに、3秒のリードを築くとその翌周にピットイン。トラフィックにひっかかったペレスの4秒以上前でコースに復帰した。

 30周目にソフトタイヤで引っ張っていたハミルトンがようやくピットインしたこともあって、全車が1回目のピットインを終了。首位に戻ったラッセルとペレスの差は5秒以上に開いた。

 空が暗くなり、路面温度が42度まで下がる中、メルセデスの2台はミディアムタイヤでも好ペース。ラッセルは少しずつリードを広げていき、ハミルトンはサインツJr.との差を詰めていった。

 捨てバイザーで戦略に狂いが生じたサインツJr.は、36周を終えたところで2度目のピットインでミディアムタイヤに交換。次のターゲットをペレスに定めたハミルトンは、1周0.5秒ほどずつ、ギャップを削り取っていった。

 ハミルトンは、43周目にはペレスを完全にロックオン。ペレスは懸命にブロックするものの、45周目のターン1でハミルトンがオーバーテイクし、フェルスタッペンとの接触で崩れたワンツー体制をここで取り戻した。

 残りが25周前後になると、各車続々と2度目のピットストップ。ペレスも47周を終えてピットに入り、ミディアムタイヤに交換した。メルセデス勢も続々と最後のピット作業を済ませ、ラッセルはサインツJr.の前を抑えることに成功した。

 52周目、ノリスがパワーを失ったと訴え、コース上で止まったことでバーチャル・セーフティカーが出された。3ストップ戦略のサインツJr.やフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)はこれを利用し、ピットに飛び込んだ。

 その後SC出動に切り替えられ、ラッセルが築いた10秒以上のリードはゼロとなった。60周目にレースがリスタート。メルセデス勢は問題なくこのスタートを決め、新しいタイヤを履くサインツJr.がペレスに襲いかかる。その後ろでは、アロンソがオーバーテイクショー。ぐいぐいとポジションを上げていった。

 ただDRSが使用可能になると、ペレスは耐えきれずにサインツJr.に抜かれ表彰台圏内から脱落。さらには、一時は最後尾まで落ち追い上げていたルクレールや、新しいタイヤで躍動するアロンソ、僚友フェルスタッペンにも抜かれてしまった。

 メルセデス2台にポジションキープの指示はなく、ラッセルとハミルトンは1.3秒前後の差のまま一騎討ち状態。だがラッセルはハミルトンに付け入るスキを与えず、ミスなく走りきりトップチェッカーを受けた。

 ハミルトンも2位に入り、メルセデスは歓喜のワンツーフィニッシュ。ラッセルはファイナルラップにファステストラップを叩き出し、キャリア初優勝を飾った。

 メルセデスにとっては、実に2020年11月のエミリア・ロマーニャGP以来となるワンツーフィニッシュで、ついにシーズン初優勝を挙げた。

 3位はサインツJr.。ペレスとランキング2位を争うルクレールは、サインツJr.とのポジションチェンジを懇願したが、結局は4位でレースを終えた。

 5位はアロンソ。オコンも8位になっており、同士討ちで散々だったスプリントから見事なリカバリーで、コンストラクターズランキング4位を争うマクラーレンとのポイント差を19点に広げた。

 レッドブルはフェルスタッペン6位、ペレス7位。7月のフランスGPから続いてきたレッドブルの連勝は9回でストップ。表彰台を逃したのはダブルリタイアだった開幕戦バーレーンGP以来と、今季のレッドブルには想像もできないような完敗だった。

 なおフェルスタッペンも、ペレスとのポジション交換をチームから指示されていたものの、これを無視。結果として、ペレスとルクレールは同点で最終戦に臨むことになる。

 9位バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)、10位セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)までがポイント獲得となっている。

 アルファタウリは、ピエール・ガスリーがピットレーンでの速度違反によるペナルティもあって14位。角田はSC走行中になぜかアンラップが許されないという疑惑のシーンもあったものの、ペースも芳しく無く17位でレースを終えている。