F1第21戦サンパウロGPは、メルセデスがワンツーフィニッシュ。レッドブルは今季の開幕戦バーレーンGP以来初めて表彰台を逃す苦しいレースとなったが、チームにとってはそれ以上に悩ましい事件が最終ラップに起こった。

 マックス・フェルスタッペンが、ランキング2位を争うセルジオ・ペレスにポジションを譲るよう指示するチームオーダーを無視したのである。

 フェルスタッペンはレース序盤にルイス・ハミルトン(メルセデス)と接触し、後方からの追い上げを強いられた。ペレスはレースの大部分で2番手を走行したが、残りタイヤの関係でレース終盤は厳しい戦いに直面した。

 ハミルトンに抜かれ3番手に落ちたペレスにとって、ランド・ノリス(マクラーレン)のトラブルで出動したセーフティカーはさらなる逆風だった。後続とのギャップが縮まったことで、ペレスは表彰台を争っていたカルロス・サインツJr.(フェラーリ)だけでなく、シャルル・ルクレール(フェラーリ)やフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)にも抜かれ6番手までポジションを落としてしまった。さらに後ろからはチームメイトのフェルスタッペンも迫っていたのだ。

 ペースに優れるフェルスタッペンはペレスの前に出ると、チームからはアロンソとルクレールをオーバーテイクしてポイントを獲得するよう激が飛んだ。

 一方のペレスにはエンジニアのヒュー・バードから、フェルスタッペンがアロンソをオーバーテイクできなければ、ドライバーズランキング2位を目指すペレスを助けるためにポジションを返すと告げられたという。

 実際、アロンソを抜けなかったフェルスタッペンは最終ラップでレースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼから、何度もペレスを先行させるように指示を受けていた。しかしフェルスタッペンはこのチームオーダーを無視。アロンソから0.4秒差、ペレスの4秒前方でフィニッシュラインを通過し、6位でレースを終えた。

 チェッカー後、ランビアーゼはフェルスタッペンに「マックス、何が起きたんだ?」と無線で問いかけた。これに対し、フェルスタッペンは次のように答えている。

「前回も言ったはずだ。二度と僕にそんなことを頼むな。OK? その点について、僕たちはハッキリさせているよな? 僕は理由を説明したし、それを守っている」

 結果として、4位となったルクレールと7位となったペレスは、同ポイントで最終戦アブダビGPに臨むことになる。

 ペレスはフィニッシュ後、無線で「彼が本当は自分がどんなヤツなのか示したんだ」と不満たっぷり。こうした事態に、チーム代表のクリスチャン・ホーナーもペレスに無線で平謝りしていた。

 レッドブルにとってペレスは、ダニエル・リカルドの移籍以降ようやく見つけたフェルスタッペンの相方だと言える。2021年のアブダビGPでハミルトンを抑え込んだ走りや、今季の日本GPでルクレールを追い詰めた走りは、それぞれのレースでのフェルスタッペンの戴冠をサポート。レッドブルのコンストラクターズタイトル獲得にも大きく貢献している。

 一方で両者の関係が緊張している遠因を見つけるとすれば、今季のモナコGP予選まで遡る必要があるかもしれない。

 この時、ペレスがQ3の最終アタックでクラッシュしたことで、フェルスタッペンはポールポジションを獲得するチャンスがなくなった。そしてこのレースでペレスが優勝、フェルスタッペンは3位に終わっている。

 フェルスタッペンとペレスの無線でのやり取り全文は以下の通り。チームとしては、この問題を解決し、気持ちよくアブダビでシーズンを締めくくりたいだろうが、果たしてどうなるだろうか。

<フェルスタッペン>

ランビアーゼ 「マックス、チェコを通してくれ。お願いだ」

ランビアーゼ 「マックス、何があったんだ?」

フェルスタッペン「前回も言ったはずだ。二度と僕にそんなことを頼むな。OK? その点について、僕たちはハッキリさせているよな? 僕は理由を説明したし、それを守っている」

<ペレス>

ペレス「みんな、アイツら(that guys)に関してはありがとう。ありがとう」

ホーナー 「チェコ(ペレスの愛称)、それについては申し訳ない」

バード「この後、すべてを報告するよ」

ペレス「彼が本当は自分がどんなヤツなのか示したんだ」