2022年のスーパーGTは、先日行なわれた第8戦もてぎをもって終了。ホームコースでの最終戦をワンツーフィニッシュで飾ったホンダ陣営だったが、シリーズタイトルは日産陣営の平峰一貴、ベルトラン・バゲット組(12号車カルソニック IMPUL Z/70.5ポイント)に奪われ、陣営の最上位は山本尚貴、牧野任祐組(100号車STANLEY NSX-GT/62ポイント)のランキング3位に終わった。

 今季から投入された日産のZが印象的なパフォーマンスを見せた感がある今季のスーパーGT。実際にランキング1位と2位が日産勢であり、ホンダ陣営は山本、牧野組がランキング3位、塚越広大、松下信治組(17号車Astemo NSX-GT)がランキング4位と、あと一歩届かなかった。

 ただHRC(ホンダ・レーシング)としては、パフォーマンスという面でZに対して大きな差をつけられているとは考えていないようだ。

「タイプSをベースに開発をしてきたNSXですが、予定通り年間を通してポイントを積み重ね、サクセスウエイトのない条件下でポールポジションをとって優勝することができました」

 HRCのスーパーGTラージプロジェクトリーダー(LPL)の佐伯昌浩は、シーズンを総括してそう語る。

「残念ながら、チャンピオンシップでは日産勢に持っていかれましたが、その差は大差ないものだと認識していますので、タイトル奪還に向けてさらに頑張り、来年絶対にタイトルをとるという覚悟で臨みます」

 NSX-GTはコーナリング性能や空力性能に優れており、SUGOやオートポリス、もてぎといったカレンダー終盤戦に組み込まれていたサーキットとは相性が良い。一方で開幕戦の舞台である低速の岡山や、第2戦、第4戦の舞台であり直線スピードが物を言う富士は他メーカーが得意とするサーキットのため、HRCとしても前半戦はしっかりとポイントを積み重ね、得意コースが続く後半戦に勝負をかけるという戦いを想定していたようだ。

 そういう意味では、前半4戦でブリヂストンユーザーの3台(17号車、100号車、8号車ARTA NSX-GT)がタイトル戦線に加わり、第7戦で17号車が、第8戦で100号車が優勝するなど後半戦にしっかりと結果を残したホンダ陣営は、事前の想定通りの戦い方ができていたと言える。ただ彼らの中で唯一の誤算だったのが、第6戦SUGOであった。

 予選では全5台をトップ10に送り込むなど、SUGOでまずまずの滑り出しを見せたホンダ勢。特にサクセスウエイトの重い100号車と17号車が4番手、5番手につけたことは好材料であった。

 しかし迎えた決勝はウエットコンディションとなり、ホンダに限らずブリヂストンユーザーの多くが”ちょい濡れ”路面でタイヤを痛めてしまいペースダウン。ウエットで圧倒的な速さを見せたミシュランユーザーのZ2台にワンツーを奪われてしまった。ホンダ陣営はダンロップユーザーが気を吐いたものの、100号車は8位、17号車は12位に終わってしまった。

「今季のレーススケジュールを見た時に、前半戦は厳しいと覚悟していましたが、その中でほとんどのレースでポイントを積み重ねられて、良い流れできていました」と佐伯LPLは言う

「流れが変わったのがSUGOの雨のレースです。あそこでポイントを稼がないといけないクルマがポイントを獲得できなかった。そこが今年の一番大きな敗因になったと思います」

「来年はウエットタイヤも含めて作り込まなくては……数秒単位でペースの違うタイヤだと、勝負にならないですから」と苦笑する佐伯LPL。今季唯一のウエットレースが、シーズンの行方を大きく左右したと言えるかもしれない。