バーレーンGPから始まった長かった2022年シーズンもいよいよ最終戦を迎え、ヤス・マリーナ・サーキットを舞台に行なわれたF1第22戦アブダビGPを、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が制した。

 トワイライトレースとなるアブダビGP。時計の針が17時を周る頃には、強い西日がサーキットを照らし、気温29度、路面温度は35度というコンディションだった。

 アブダビGPは例年通り、”ラストレース”となるドライバーも多い。今年はなんと言っても、4度のF1世界チャンピオンであるセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)が、ここでF1キャリアにピリオドを打つ。スタート前のセレモニーでは、F1ドライバーを始め関係者と握手や抱擁を交わしていた。

 移籍組も多く、ベッテルの後任としてアストンマーチンに移るフェルナンド・アロンソにとってはアルピーヌでのラストレース。そしてそのアルピーヌに移るピエール・ガスリーにとっては、アルファタウリやレッドブル陣営としてのラストレースになる。来季のシートがないミック・シューマッハー(ハース)やダニエル・リカルド(マクラーレン)、ニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)は、これからのキャリアのためも重要なレースとなった。

 予選では上位チーム間の勢力差がグリッド順に反映され、フロントロウをレッドブルが独占し、2列目にフェラーリ、3列目にメルセデスが並んだ。ただ7番手ランド・ノリス(マクラーレン)以下は各チームのドライバーが入り乱れるという状況だった。

 ほとんどのドライバーがスタートタイヤにミディアムタイヤを選択。20台のマシンがグリッドに並び、2022年最後のレースへ向けてシグナルが消え、58周の戦いが幕を開けた。

 ポールスタートのフェルスタッペンを先頭に、チームメイトのセルジオ・ペレスが2番手でファーストコーナーを抜けた。

 ルイス・ハミルトン(メルセデス)は抜群のスタートを決めてカルロス・サインツJr.を抜き、フェラーリの間に割って入ったものの、ターン6で反撃に遭う。ハミルトンはコース外にはじき出される形でランオフエリアを走り、サインツJr.の前で合流。ハミルトンはコース外を走ってアドバンテージを得たとして、一度ポジションをサインツJr.に戻すこととなったものの、すぐさま抜き返して4番手に浮上した。

 首位フェルスタッペンは1分30秒台のペースを刻み、2番手ペレスや3番手ルクレール以下を徐々に突き放していく。ハミルトンはサインツJr.を抜きこそしたものの、マシントラブルかペースダウン……ハミルトンは8周目に再びサインツJr.に抜き返され、翌周にはチームメイトのジョージ・ラッセルにも先行を許した。

 後方に目を移すと、8番手争いが激化。アロンソを抜いたベッテルがエステバン・オコン(アルピーヌ)攻め立てた。そのオコンは15周目にピットイン。11番手で後方からランス・ストロール(アストンマーチン)の追撃を受けていた角田裕毅(アルファタウリ)もピットに戻り、ハードタイヤに交換した。

 上位勢もその頃からピットへ。ペースが落ちていたペレスもハードタイヤに変えコースへ戻ったものの、タイヤが十分に温まっていないこともあり、ピットストップを行なっていなかったベッテルにコース上で一度交わされるシーンもあった。

 ラッセルも同様のタイミングでピットストップを行なったものの、右リヤタイヤの交換に手間取った上、ファストレーンを走っていたノリスと接触しかかったことで、アンセーフリリースとして5秒のタイム加算ペナルティを科された。ラッセルは2回目のピットストップでこのペナルティを消化することとなった。

 首位フェルスタッペンも21周目まで引っ張り、1回目のピットストップを完了。フェルスタッペンはピットストップに時間を要したためペレスとのギャップは1秒にまで縮まったものの、首位をキープ。レッドブル、フェラーリ、メルセデスがチームごとに並んで走った。

 全車がピットストップ義務を消化したレース折返しの時点では、トップ3チームの後ろ7番手にノリス、8番手にオコン、9番手にストロール、10番手には角田がつけた。

 フェルスタッペンとの差が再び開いていったペレスには1分29秒台で走るルクレールが迫り、チームは33周目の終わりにペレスをピットへ呼び込み、2セット目の新品ハードタイヤを投入。ファステストラップを記録しながら、ルクレールと開いた20秒近い差を切り崩しに走った。

 ルクレールは、同じ1ストップ戦略を採る首位のフェルスタッペンと同様の1分29秒台で周回を続けたものの、ペースで勝るペレスはハミルトンを46周目に攻略。ふたりの差が10秒を切った。

 ペレスはジリジリと迫るものの、ルクレールは周回数を重ねたハードタイヤでも1分29秒をキープし続け、猛プッシュ……フェルスタッペンが今季15回目のトップチェッカーを悠々と受ける中、ルクレールはペレスとの差を1.3秒退け2位表彰台を獲得。ペレスの前でチェッカーを受けたことで、ルクレールはドライバーズランキング2位を獲得。レッドブルとしては、チーム初のランキング1−2を達成するには至らなかった。

 結果として1ストップ戦略を採ることとなったハミルトンは、2ストップ戦略のサインツJr.が背後に迫る中、油圧系のトラブルが発生……これが”致命傷”となり、残り3周というところでリタイア(完走扱い)を喫している。4位の座をサインツJr.に明け渡した上、F1デビューイヤーから続く、シーズン連続勝利記録がここで途絶えることとなった。

 5位にラッセル、6位にノリス、7位にオコン、8位にストロールと2ストップ戦略勢が続き、1ストップ戦略勢でラストレースのリカルドとベッテルが9位と10位で続いた。

 ベッテルは自らの引退に花を飾る入賞。チェッカー後には、ホームストレート上でドーナツターンを披露し、詰めかけたファンに”サヨナラ”を告げた。

 角田は2スティント目で入賞圏内に入り、最終スティントではソフトタイヤを選択。スティント序盤はハイペースで周回したものの、10番手ベッテルに追いついた頃にはタイヤライフが限界を迎えたか、11番手で2022年最後のグランプリを終えた。

 チームメイトのガスリーは14番手。アロンソはウォーターリークによりリタイアとなった。

 これで様々な出来事に溢れた2022年シーズンも閉幕。F1はオフシーズンに入るが、ここからF1チームは2023年シーズンに向けたマシン開発も最終盤に差し掛かる。舞台裏での戦いは止まらない……。