11月20日(日)、岡山国際サーキットで新生TGR GR86/BRZ Cupの22年チャンピオンが決まった。

 プロフェッショナルシリーズのチャンピオンは、冨林勇佑(エアバスターDL・GR86 )。ウィナーだけでなく、表彰台登壇者も毎戦変わる激戦を制した。クラブマンシリーズのチャンピオンは、年間3勝で勝木崇文(Star5 ダイシン GR86)だった。

 11月19日(土)天候は快晴、午前10時20分からプロフェッショナルシリーズの予選が15分間で開催された。

 通常はニュータイヤを活かした緊張感溢れる、1ラップしかアタックしない予選だが、ダブルヘッダーの今回はセカンドベストタイムも予選結果となる通常と異なるフォーマットとなった。第5戦のポールポジションは吉田広樹(埼玉トヨペットGB BS GR86)が、第6戦(最終戦)のポールポジションは菅波冬悟(OTG TN滋賀 GR86)が奪った。注目のタイヤ開発戦争は、ブリヂストンタイヤとダンロップタイヤがポールポジションを分け合った。

 午後14時54分、12周で第5戦の決勝レースがスタート。ホールショットを決めたのはポールシッターの吉田で、フロントロウスタートの阪口良平(MOTUL TWS GR86)が遅れ、冨林が2番手に浮上した。

 冨林は果敢にトップを狙うが、レースペースで吉田に勝る事が出来ず、吉田は危なげなくポールトゥウィンを果たし、嬉しい初優勝。伊東黎明(OTG DL GR86)は6位でチェッカーを受け、この結果により冨林と伊東が同ポイントで並び、チャンピオン争いは最終戦で雌雄を決する事となった。

 11月20日(日)午前11時05分に12周の最終戦がスタート。トップ争いは菅波と冨林がオープニングラップから激しいバトルを見せ、菅波がトップに浮上した。

 レース序盤、菅波は後続を離す好ペースで飛ばすが、その後ろで堤が毎ラップオーバーテイクを成功し、着実にポジションアップをしていく。トップ2台のダンロップ勢より勢いが増すブリヂストンユーザーの堤は、8周目の1コーナーで菅波をオーバーテイク! トップに立った堤は後続より速い1分47秒台でラストスパートをし、後続は48秒台でしか走れず万事休す。堤は今季2勝目を挙げ、チャンピオン争いは3位でチェッカー受けた冨林に軍配。eスポーツ出身者が現実世界で、TGR GR86/BRZ Cupという激戦の場で歴史に名を遺した。

 富林は年間表彰式の場で、「車も新型になりプロクラス2年目で、様々な著名なドライバーと走れるだけで光栄なので、正直な気持ちはチャンピオンを獲るという意識はなかった。だが1戦1戦表彰台に立つ事を目標に走り、最終戦も初めてポールポジションを獲れて、最後に意識する様になった。未勝利でチャンピオンになったので来年は先ず初優勝を果たしたい」と語った。

 クラブマンシリーズは19日(土)に開催された第5戦で優勝を飾った勝木が、1ポイントでも獲得すればチャンピオンという有利な展開で最終戦を迎えた。

 勝木はレース終盤まで5番手で王者獲得を目指した。ドラマが起きたのはレース残り2周、勝木が突然順位を落としラップタイムが如実に落ちる。マシントラブルが発生し本来のレーシングスピードを失うも、辛くも10位でチェッカー。涙を流し、初戴冠の喜びを全身で表した。

 勝木は年間表彰式の場で「念願のチャンピオンでした。開幕から松井選手(TEAM SAMURAI GR86)と菱井選手(徳島トヨタ GR86)と三つ巴でシーズン通して戦った印象で、毎戦積み重ねたポイントが最後に活きてきました」と語った。来年以降の活躍も楽しみだ。

 筆者個人的な感想としては、新型車両に代わり、ルール改定もされ、より魅力が増したと感じた新しいシーズンだった。エントラントの多さ、コース上のレベルの高さとは良い意味で反比例するチームの穏やかさとファンフレンドリーな雰囲気。そして、様々な部品変更が可能になった事により現れたコース上で走りの個性と難しさ。タイヤ戦争はさらに過激さを増すかもしれない。

 現地観戦したの事ないモータースポーツファンの方はぜひ来年こそはサーキットに足を運んで、TGR GR86/BRZ Cupにしかない魅力を感じてもらいたい。