ヤス・マリーナ・サーキットで開催されたF1アブダビGPで、フェラーリはシャルル・ルクレールがレッドブルのセルジオ・ペレスとランキング2位を争っていたが、“ダミー”の情報を無線で使うことで、ライバルのかく乱に成功したという。

 最終戦アブダビGPに同ポイントで臨んでいたルクレールとペレス。彼らは序盤から2番手争いを繰り広げていたが、2番手を走るペレスのペースが少し上回っているようだったため、ルクレールとしては戦略が唯一のチャンスだと認識していた。

 その戦略こそ、ペレスに2ストップを強いるというものだったが、実際に彼らは上手く相手をのせ、戦略を成功させている。

 その戦略は、お互いが1回目のピットストップを終えた後、33周目に実行された。フェラーリは「レッドブルの逆を突いてピットに入る」というブラフの無線を送って、ルクレールにペレスをアンダーカットさせようとしている”印象”を与えたのだ。

 もちろん、実際のレースで見られたように、フェラーリは2ストップ戦略を採る気はなく、1ストップを計画していた。しかしレッドブルは反応を示すと、ペレスをピットに呼び戻し、アンダーカットをカバーする方向に動いた。

 実際、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は2ストップ戦略を決めた背景には、ペレスのタイヤ状況と「フェラーリがアンダーカットを狙っていたこと」の両方があったことを認めている。

 タイヤ交換で後退した結果、ペレスは後方から追い上げを目指す形となった。彼は猛追を見せたものの、わずか1.3秒届かずに3位でレースを終え、ルクレールがランキング2位の座を手にしたのだ。

 フェラーリの戦略がハマった形となったが、ルクレールはレースを振り返って次のようにSky Sportsに語っている。

「あれは事前に計画されていたモノだったんだ」

「今だから言えるけど、あそこでレッドブル側に偽の情報を流して、彼らにこっちがピットに入ると思わせたんだ。それで彼らが対応のために2回目のピットに向かった。ウチの作戦が完璧に決まったんだ。上手くできたと思う」

 フェラーリは今シーズン、戦略面で批判も浴びてきた。ただ今回の2位獲得を目指した戦略をうまく機能させたことには、チーム代表のマッティア・ビノットも満足しているようだ。

「レッドブルに向けてのダミーの無線は素晴らしかったと思う」

「チームにとっても素晴らしい結果だった。ストラテジストは素晴らしい仕事をしたし、今週末はしっかりとレースを戦えたことは素晴らしい」

「(ドライバーズ選手権とコンストラクターズ選手権の)2位と2位というのは、今日だけではなく今シーズン全体を表したものだと思う。もちろん、今日は間違いなく適切な仕事ぶりだったとは思う」

「レッドブルへのダミーは正しいものだった。全体的に見ても我々は適切に動くことができていたと思う。だから、チームにとってもハッピーだ」

「フェラーリとしても、ミスを犯した時には常に多数の批判を受けていた。しかし彼らはとても上手くやってくれていると思う」

 さらにルクレールはアブダビGPについて、チーム代表更迭などの噂など、ランキング争いに余計なプレッシャーがかかっていたことを考慮すると、より印象的なチームの仕事ぶりだったと語った。

「僕らは最もプレッシャーの掛かる中で正しい選択をしたんだ」と、ルクレールは言う。

「言うまでもないけど、今週末に向けてはドライバーズとコンストラクターズのランキング2位争い、それに色々な噂と、外部からのプレッシャーがあった」

「そうした状況でも、僕らはベストを尽くしていくことができた。こういうことは、チームを凄く誇らしく思わせてくれるんだ」

「純粋なペースで、僕らがレッドブルよりも速かったとは思っていない。レッドブルは僕らよりもまだ強かったと思うよ。でも、僕らは相手のミスを誘い、2ストップを選ばせて、最終的にはそれが報われた。だから、凄くハッピーだ」